業界ナビ:ボイスサンプルの作成手順を3ステップで紹介!録音時のコツや必要機材は?
自分の声の特徴や表現力、演技の幅などを伝え、アピールするためのツールである『ボイスサンプル』は、声優やナレーターなど、声の仕事を目指す人にとって非常に重要なものです。
しかし、ボイスサンプルが何かを知っていても、「有名な声優さんのボイスサンプルは聞いたことがあるけど、そもそもどうやって作るの?」「ボイスサンプルを録音するためにはどんな機材が必要?」「ボイスサンプルではどんなことをアピールすればいいの?」とわからないことだらけの方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ボイスサンプルの重要性や基本的な構成、作成の流れ、原稿の作り方や録音のコツ、必要機材などについて解説します。
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目次
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ボイスサンプルとは
ボイスサンプルとは、声優やナレーターなどが、自分の声の特徴や表現力、演技の幅などを示すための声のサンプル(音声データ)のことです。『ボイサン』『サンプルボイス』『デモテープ』などと呼ばれることもあります。
作品のオーディションや仕事に応募するときに自分の実力や魅力をアピールするものであり、声優やナレーターにとっては名刺のようなものといえるでしょう。
重要性
自分の声の特徴や魅力、強み、演技力などをアピールするためのボイスサンプルは、声優やナレーター、俳優が仕事を獲得するために非常に重要なものです。
そのため、自分の強みや技術、人物像、オリジナリティなどを、簡潔に、そしてわかりやすく伝える必要があります。
作品のオーディションによっては、たくさんのボイスサンプルを集めて一次審査を行うケースもあります。オーディションや仕事の応募では多くのライバルがいますが、その中で勝ち抜き、役を手にするためにはクオリティの高いボイスサンプルをつくることが欠かせません。
自分で声を録音して、技術の改善やトレーニングのために使う場合であれば録音環境にそこまでこだわらなくてもOKですが、ボイスサンプルの場合は『声を録音すること』が目的ではなく、『自分の魅力を伝える』ことが目的です。
自分をまったく知らないクライアントに対して提出するボイスサンプルはまさに名刺のような存在で、ボイスサンプルによって第一印象が記憶されます。
ボイスサンプルのクオリティが低いと、「なかなか二次審査に進めない」という状況になってしまう可能性もあるため、クオリティの高いものを完成させましょう。
構成・順番
ボイスサンプルをつくったことがない場合、「そもそもボイスサンプルってどんなことを録音すればいいの?」「ボイスサンプルに決まりはあるの?」という方もいるでしょう。
オーディションでボイスサンプルの提出が求められている場合は、ボイスサンプルに収録する内容も指定されていることが多いです。
基本的な項目は、以下の3つです。
- 自己紹介
- ナレーション
- セリフ
この3つは、ほとんどのオーディションで収録が求められる項目です。その他、オーディション内容によっては、歌やフリートークなどを入れることもあります。
特にボイスサンプルの内容の指定がなかった場合でも、最低限上記の3項目は収録しておくといいでしょう。
ボイスサンプルを作成する流れ
ボイスサンプルを作成するときは『原稿を作る』『練習する』『録音する』という3ステップで進行します。計画的にボイスサンプルを作成して、クオリティの高いものに仕上げましょう。
ステップ1:原稿を作る
ボイスサンプルを作成する最初のステップは、原稿の作成です。
原稿を作るときは、まず自分はどんな声を演じるのが得意なのか、どんなキャラクター向きなのか、自分の声にはどんな特徴があるのかなど、自分について知っておきましょう。そうすることで、自分の魅力や強みをボイスサンプルに反映できます。
原稿は、アニメやゲーム声優を目指している場合はキャラクターの原稿や台本を用意し、ナレーターを目指している場合はナレーション用の原稿を多めに用意します。
自身の得意分野や適していると考えられるキャラクターのものを選ぶことが大切です。
ボイスサンプルの原稿や台本は、インターネットで検索するとさまざまなものがありますが、完全に同じまま使うのは避けるといいでしょう。なぜなら、他の人のセリフやナレーションが被ってしまう可能性があるためです。
また、同じようなキャラクターの原稿ばかり用意してしまうと、演技の幅をアピールできないためある程度幅を持たせるといいでしょう。
ボイスサンプルに時間の指定がなければ、2〜3分ほどにまとめるのがおすすめです。
ステップ2:練習する
原稿が用意できたら、次に重要なのは練習です。ボイスサンプルの完成度は練習の積み重ねに大きく左右されます。
練習中は原稿や台本を繰り返し読むだけでなく、自分の声を録音して必ず聞くようにしましょう。自分が話しているときの声と、録音した声では印象は大きく違うものです。
録音した声を聞くことで、客観的に自分の演技や声の出し方を見直すことができ、改善点が見えてきます。
練習時は、自分の特徴や個性を相手に伝えることを意識することも忘れないようにしましょう。自分を知らない人に対して、どのようにすれば個性や魅力を伝えられるか、もっと聞きたいと思わせられるか、自分の強みを詰め込んでオリジナリティあふれるボイスサンプルにすることが大切です。
ステップ3:録音する
原稿を準備して、練習も十分できたら、最後にボイスサンプルの録音を行います。録音は、専門の録音スタジオや自宅に備えた録音環境で行うことが一般的です。
自宅での録音の場合、一緒に住んでいる家族の生活音や周囲の騒音などが入ってしまうことがあるため、なるべく静かな部屋に録音環境を整えるといいでしょう。一度できれいに音声収録ができるとは限らないため、何度も録り直して満足のいくボイスサンプルに仕上げることが大切です。
オーディションのためのボイスサンプルの場合、クオリティが求められるため、プロの声優と同じような専用の録音スタジオ環境で録音するのがおすすめです。
録音スタジオの場合、音声収録に適した静かな環境が整っているだけでなく、高品質なマイクや録音機材を使って録音できます。
また、スタジオによってはプロによってリップノイズやセリフ間の雑音をカットする『ノイズカット』や、音量のばらつきを調整する『ボリューム調整』などをしてくれるところもあります。
ボイスサンプルの原稿の作り方
ボイスサンプルの原稿を作成する際には、個人の個性や演技力を最大限に発揮できるような内容を盛り込むことが重要です。
ここでは、オリジナルのボイスサンプル原稿の作り方の手順を紹介します。
自己紹介パートを考える
ボイスサンプルの最初には、必ず自己紹介をします。自己紹介は簡単なもので、5秒くらいでまとめましょう。
オーディションで受ける役柄が決まっている場合は『役柄+自分の名前』、事務所や専門校に所属している場合は『事務所名もしくは専門校名+自分の名前』を伝えます。
上記に当てはまらない場合は、自分の名前を伝えるだけでOKです。
また、もし自己PRを求められた場合は、こちらの記事を参考に魅力的な自己PRを用意しましょう。
オリジナルの自作原稿を作成する
基本的に、声優プロダクションやナレータープロダクションからの課題原稿がありますので、オリジナルで作る事はほぼありません。
しかし、まれにオリジナル原稿を作成することもあるため、その際は「悲観的な文章」や「危ないワード(例えば「殺す」など)」を避けるようにしましょう。
声優志望なのかナレーション志望なのか、希望によって制作する自作原稿の内容を変えるといいでしょう。
原稿は、特に指定がなければ縦書きで、可能な限り1ページに収まるようにしましょう。自筆でもパソコンでもOKですが、原稿を提出する必要がある場合はきれいな字で書く必要があるためパソコンだと楽です。
- ボイスサンプル原稿、自分の名前を記載(専門校に所属している場合はクラス名も記載)
- 「ナレーション」や「セリフ」を記載
キャラクターのセリフには『①セリフ 20代前半女性 天真爛漫な主人公』などキャラクターについて簡単な情報を入れておくと、イメージしてもらいやすくなります。
「主役」や「悪役」といったポジションでキャラクターを決めるのではなく、自分の声質や芝居に合ったキャラクターをつくることが大切です。その際、細かくシチュエーションを設定すると、よりキャラクターづくりがしやすくなります。
ボイスサンプルを録音するときのコツ
ボイスサンプルは、いくつかのコツを押さえることでクオリティの高いものにできます。ここからは、ボイスサンプルを録音するときのコツを紹介します。
明るく丁寧にハキハキと自己紹介する
ボイスサンプルでは、最初に自己紹介がきます。自己紹介は第一印象となるパートであるため、明るく丁寧な口調で自己紹介することが大切です。
自己紹介部分を含めてボイスサンプルであるため、気を抜かず、自分の素の声をアピールしましょう。
聞き手を魅了する芝居を心がける
ボイスサンプルでは、思わず聞き手が魅力されてしまうような芝居を心掛けましょう。
しっかりと感情のこもった深みのある演技にするためには、演じるキャラクターづくりが重要です。年齢や場面、セリフや相手との距離感、誰に対して話しているのかなど、細かく作り込むことで演じているキャラクターの背景が見えてきて、聞き手を惹き込めます。
正しいアクセントを意識する
関西弁や京都弁、博多弁など、方言は声優がキャラクターを演じる上では強みにできる部分ですが、まずは標準語のアクセントをマスターすることが基本です。
正しいアクセントを意識し、言葉のニュアンスやリズムを大切にして録音を行いましょう。アクセントが心配な単語などがあれば、事前に調べておくことが大切です。
リップノイズを防止する
録音時に注意すべき点の一つが、リップノイズです。リップノイズとは、唇や舌の動きによって生じる雑音のことを指します。
普通に聞く分にはそこまで気にならなくても、マイクを通すと小さなリップノイズも不快に聞こえてしまうことがあるため、注意が必要です。
リップノイズの原因としては、唾液の量の多さや、唾液の粘り気、口腔内の乾燥などがあります。リップノイズを防止するためには、口腔内を清潔に保ち、適度な潤いのある状態にしておくことが大切です。
ボイスサンプルを家で録音するときの必要機材
ボイスサンプルを家で録音するときは、適切な必要機材を用意する必要があります。ここからは、ボイスサンプルを自宅で録音する際の最低限の必要機材を紹介します。
ヘッドホン・マイク
録音時や音声確認時に必要となるのが、ヘッドホンやマイクです。
マイクは『コンデンサーマイク』『ダイナミックマイク』の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
ダイナミックマイクの方がノイズを拾いにくいものの、音質はコンデンサーマイクに劣ります。コンデンサーマイクはノイズを拾いやすく扱いが難しいものの、音質が非常にいいことが特徴です。
ヘッドホンは、録音した自分の声を確認するために使用します。ヘッドホンにも種類があるため、いくつか比較してみるのがおすすめです。
パソコン・スマートフォン
ボイスサンプルは、パソコンでもスマホでも作成できます。音声編集ソフトを使用する場合は、パソコンでの編集がおすすめです。画像や動画を編集するわけではないため、高性能なものではなくてもいいので用意しましょう。
音声編集ソフト
録音した音声データの編集や加工は、音声編集ソフトを使用して行います。録音中に入ったノイズ除去や音量の調整などができ、無料のものから有料のものまでさまざまなソフトがあります。
スタジオでも使われる『PRO TOOLS』は無料版でも十分な性能があるため、『PRO TOOLS』の無料版をダウンロードしてみるといいでしょう。
ただし、音声編集ソフトで調整をしすぎると、編集・加工された音声であることを審査員に見抜かれて、オーディションに落ちてしまう可能性もあります。
編集は「リップノイズを落とす」や「間を詰める」程度にして、あまり凝った編集はしない方がいいでしょう。
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ボイスサンプルは、声優やナレーターを目指す人にとって、非常に重要な宣材です。特に、オーディション用の場合はクオリティの高いボイスサンプルの作成が必要となります。
代々木アニメーション学院では、より魅力的なセルフプロデュースができるよう、ボイスサンプルの作成方法や収録、徹底的なアドバイスを行っています。
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まとめ
ボイスサンプルとは、オーディションを受けるときなどに提出する、自分の強みや魅力をアピールするための音声データのことです。自宅でも録音できるものの、機材が必要で、録音技術・編集技術も求められるため、クオリティの高いボイスサンプルを作成したいのであればプロに依頼するといいでしょう。
代々木アニメーション学院では、ボイスサンプルの作成方法や収録だけでなく、さまざまなオーディションに対応できるよう、オーディション対策を行っています。
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