業界ナビ:ウィスパーボイスの魅力とは?出すときのポイントや練習法を紹介!
『ウィスパーボイス』はさまざまな歌唱テクニックのうちの一つです。吐息が混ざったようなささやき声のウィスパーボイスを効果的に使うことで、切なさや優しさ、甘さなど繊細なニュアンスを演出することができます。
ファルセットやビブラート、ハイトーンボイスやホイッスルボイルなど多くのテクニックがある中で、優しくささやくようなウィスパーボイスは簡単に思えるかもしれませんが、「歌手の真似をしてみても同じようにならない」「思っているウィスパーボイスと違う」と感じることも。
そこでこの記事では、ウィスパーボイスとは何か、魅力や使いどころ、出し方のポイント、練習法やおすすめの練習曲を紹介します。
目次
歌は正しい練習を積むことによって上手になります。しかし、練習といっても具体的に何をしたらよいのかわからないという方もいるでしょう。歌の練習は、練習法やアプリを使用して自宅で行うこともできますが…続きを読む
ウィスパーボイスとは
ウィスパー(whisper)は、英語で「ささやき声、ささやく、小声で話す」などの意味があります。
ウィスパーボイス(whisper voice)とは、ささやくような声の出し方、歌い方のことです。歌唱の他にも、アニメやゲーム、朗読やナレーションの音声収録で使われます。
地声(通常の話声)と比べると、息の量が多くなり、柔らかな声になることが特徴です。
ウィスパーボイスは、『甘さ』『切なさ』『セクシーさ』『儚さ』などの印象を与えることができ、しっとりした雰囲気のバラード曲で多く使われています。
単に声を弱く・小さくしたり、息を漏らしたりするだけではウィスパーボイスにはなりません。ウィスパーボイスには弱々しさはなく、しっかりと声に芯があるものの柔らかさをまとったイメージの声です。
魅力・使いどころ
ウィスパーボイスは、表現の幅を大きく広げられることが大きな魅力です。
ハイトーンボイスのような華やかさや迫力はないものの、切ないバラードや感傷的な曲では、ウィスパーボイスの繊細な表現によって曲の世界観をよりリアルかつ感動的に伝えられます。
また、アップテンポな曲やハードな曲に部分的にウィスパーボイスを取り入れることで、明るさや力強さの中に、切なさや寂しさ、セクシーさなどより豊かな表現が可能です。
キャラクターに声を吹き込む音声収録や朗読、ナレーションの場合も、ウィスパーボイスを効果的に活用することで緊張感や恐怖の演出、感情の表現の強調など演技の幅を広げることができるでしょう。
ウィスパーボイスを出すときのポイント
ウィスパーボイスは比較的誰でも簡単に出しやすい声ですが、慣れないうちは難しさを感じることもあるかもしれません。そんなときは、コツを押さえて練習を繰り返しましょう。
ここでは、ウィスパーボイスを出すときのポイントを紹介します。
体の力を抜いてリラックスする
ウィスパーボイスを出すためには、リラックスした状態になることが大切です。力んだり体が緊張したりしていると、ウィスパーボイスの柔らかく繊細な表現が上手くできなくなってしまいます。
特に、上半身をリラックスさせることが大切です。喉や顔、肩まわりなどの筋肉をほぐしてからウィスパーボイスのトレーニングを行うといいでしょう。
また、姿勢も大切です。背中が丸まった悪い姿勢になると、しっかり息を取り込むことができず、息が足りなくなったり、発生が安定しにくくなったりします。リラックスして、真っ直ぐ良い姿勢で声を出しましょう。
ストレッチやリップロールなどのウォーミングアップを取り入れるのもおすすめです。
声帯を震わせる
ウィスパーボイスを出すときは、声帯を振動させる必要があります。声帯を震わせることで、声に安定感が出るのです。
声帯が振動していないとウィスパーボイスではなく、ただ息が漏れただけの声になってしまうため注意しましょう。
声帯がきちんと震えているかわからない場合は、喉仏あたりに手で触れながらウィスパーボイスを出して、声帯が振動しているか確かめてみましょう。
胸で響かせるように息を吐く
ウィスパーボイスで発声するときは、声を胸に響かせるようにして息を吐くのがポイントです。
体の中心部分に声を響かせるように意識して声を出してみるといいでしょう。胸のあたりが震えているのを感じられれば、声が胸に響いている証拠です。
ウィスパーボイスはささやくような声、ささやくような歌い方ということで、簡単に出せるイメージがあるかもしれません。しかし、普通に歌うよりも多くの息の量が必要なため、肺活量も必要になってきます。
トレーニングを繰り返して、安定した美しいウィスパーボイスを出せるようにしましょう。
ウィスパーボイスのおすすめ練習法3選
ウィスパーボイスをマスターするためには、ポイントを押さえたボイストレーニングを繰り返すことが大切です。ここでは、ウィスパーボイスのおすすめ練習法を紹介します。
腹式呼吸を習得する
ウィスパーボイスでしっかりとした声を出すためには、十分な息の量とコントロールが必要です。そのためにも、まずは腹式呼吸をマスターすることから始めましょう。
普段、無意識に行っている呼吸は『胸式呼吸』といって、肋間筋(肋骨と肋骨の間の筋肉)を使い、肋骨を広げることで肺を膨らませています。
一方、『腹式呼吸』は横隔膜と呼ばれる膜状の筋肉を動かして空気を取り込む呼吸法です。
肋間筋にも横隔膜にも制限はあるものの、横隔膜の方が動く範囲が大きくなります。また、横隔膜に引っ張られると肺が広がりやすくなるため、胸式呼吸よりもたくさんの量の空気を吸い込むことができます。
ウィスパーボイスは通常の声よりも多くの息が必要となるため、腹式呼吸をマスターすれば豊富な息を使い、安定したウィスパーボイスが出せるようになるでしょう。
息だけが流れるイメージを掴む
ウィスパーボイスでしっかりとした声を出すためには、十分な息の量とコントロールが必要です。そのためにも、まずは腹式呼吸をマスターすることから始めましょう。
普段、無意識に行っている呼吸は『胸式呼吸』といって、肋間筋(肋骨と肋骨の間の筋肉)を使い、肋骨を広げることで肺を膨らませています。
一方、『腹式呼吸』は横隔膜と呼ばれる膜状の筋肉を動かして空気を取り込む呼吸法です。
肋間筋にも横隔膜にも制限はあるものの、横隔膜の方が動く範囲が大きくなります。また、横隔膜に引っ張られると肺が広がりやすくなるため、胸式呼吸よりもたくさんの量の空気を吸い込むことができます。
ウィスパーボイスは通常の声よりも多くの息が必要となるため、腹式呼吸をマスターすれば豊富な息を使い、安定したウィスパーボイスが出せるようになるでしょう。
息と声の割合を調整する
息が流れるイメージを掴めたら、息と声の割合を調整しましょう。
最初は『声が30%:息が70%』くらいの割合から始めて、『声が50%:息が50%』、『声が70%:息が30%』のように声の比率を大きくしていきます。
慣れてきたら、簡単な歌や短いフレーズを練習してみるといいでしょう。
息の漏れ具合と声のバランスをコントロールできるようになると、ウィスパーボイスの表現の幅は大きく広がります。ウィスパーボイスを細かく調整して、自分の歌いやすいバランスや理想の響きを見つけてみましょう。
【男性編】ウィスパーボイスのおすすめ練習曲3選
ここからは、ウィスパーボイスの練習におすすめの男性アーティストの曲を紹介します。どれも一度は耳にしたことがある有名な曲なので、ぜひ練習してウィスパーボイスのテクニックを向上させましょう。
白日/King Gnu
人気ロックバンドKing Gnuの代表曲の一つである『白日』は、透明感のあるウィスパーボイスから始まり、バンド演奏、ラップとさまざまな魅力が詰め込まれた一曲です。
曲の冒頭部分でウィスパーボイスとファルセットが使われているため、この曲を練習するだけでもウィスパーボイスのテクニックをしっかりと鍛えることができるでしょう。
ツインボーカルの曲のため、一人で一曲を歌いこなすのは難易度が高いものの、歌いきることができれば歌のテクニックや表現力の向上が期待できます。ぜひ繰り返し練習してみましょう。
壊れかけのRadio/徳永英明
元祖ウィスパーボイスといわれる徳永英明さんの『壊れかけのRadio』は、ウィスパーボイスを使うことで優しく、儚げな世界観や感情が表現された曲です。
キーも高すぎないため、高すぎる歌が苦手な人にもぴったりの練習曲といえるでしょう。徳永英明さんは男性ウィスパーボイスシンガーの代表ともいえるアーティストなので、真似をしてウィスパーボイスのテクニックを磨いてみてください。
メロディー/玉置浩二
玉置浩二さんは、スパイスのように曲の中に部分的にウィスパーボイスを取り入れることで、豊かな表現を行っています。
そんな玉置浩二さんの代表曲でもある『メロディー』は、ウィスパーボイスの練習にぴったりの曲です。歌詞を読み、曲をよく聴き込んで世界観に入り込んでウィスパーボイスを出すことで、感情のこもった表現に挑戦してください。
【女性編】ウィスパーボイスのおすすめ練習曲3選
続いては、ウィスパーボイスの練習におすすめの女性アーティストの曲を紹介します。どれも魅力的な曲ばかりなので、ぜひ練習に取り入れてみてください。
やさしい気持ち/Chara
女性アーティストでウィスパーボイスというと、Charaさんを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。息に包まれたような声はときに可愛らしく、ときにセクシーで、聴けばすぐにCharaさんだとわかる特徴的な声をしています。
そんなCharaさんの『やさしい気持ち』は、ウィスパーボイスの練習にぴったりの曲です。
簡単に歌っているように聞こえますが、息漏れの量が多いため、Charaさんと同じように歌うためには肺活量が必要です。しっかりとたくさんの息を取り込んで歌いましょう。
ハミングがきこえる/カヒミ・カリィ
息を少し多めに入れたウィスパーボイスで歌われているカヒミ・カリィさんの『ハミングがきこえる』も、練習曲としておすすめです。
息の量が多すぎてモゴモゴしてしまうとかっこわるい印象になってしまうため、モゴモゴしてしまわないように、口をしっかり開くことを意識してトレーニングをしてみましょう。
First Love/宇多田ヒカル
宇多田ヒカルさんの『First Love』もウィスパーボイスの練習におすすめの曲です。
宇多田ヒカルさんのウィスパーボイスはハスキー、少し力強さもあります。難しい印象があるかもしれませんが、音程が安定しているため練習しやすい曲といえるでしょう。
ウィスパーボイスを出すときの注意点
ウィスパーボイスを出すときは、ただ弱い声や、息が漏れているだけの声にならないようにしましょう。しっかりと声帯を震わせることが安定したウィスパーボイスを出すコツです。
息を吐きすぎてしまうと声帯が乾燥しやすくなるため、息が出てしまいやすい人はコントロールして調節することが大切です。
また、ウィスパーボイスを出すときに、大きな声を出すのはNG。無理に大きな声を出すと喉に負担がかかってしまうため注意が必要です。
ウィスパーボイスが特徴的なアーティストの中にはおしゃれな歌い方や個性的な歌い方をしているアーティストもいますが、誇張して真似をするとモゴモゴしたり、発音が曖昧になったりします。
しっかり口を開けて、一語一語きちんと発音することを心掛けることが大切です。
まとめ
しっかりと芯のあるウィスパーボイスが出せるようになると、表現の幅が広がり、歌や演技に説得力や深みを出すことができます。
また、声が硬いといわれる方や、張り上げるような歌い方になっている方も、ウィスパーボイスを身につけることで柔軟性のある伸びやかな声をつくっていけるでしょう。
しかし、ウィスパーボイスはただ弱々しい声になってしまったり、息漏れ声になってしまったり、きれいに出せないこともあります。
「きれいなウィスパーボイスが出せない」「正しい発声ができているか不安」「自己流で練習してもウィスパーボイスが上手くならない」と悩んでいる方は、プロの指導を受けるのがおすすめです。
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