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業界ナビ:絶対音感は生まれつきの才能?身につけるトレーニング法やメリット・デメリット

世界的に有名な作曲家でピアニストのベートーヴェンが持っていたという『絶対音感』。歌や音楽が好きな人の中には「絶対音感があったらいいのにな」「絶対音感はどうやって身につけるんだろう?」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。

絶対音感を身につけるには、幼少期から適切な訓練を受ける必要があります。そのため、大人になってからの習得は現実的ではありません。

しかし、『相対音感』であれば、訓練次第で大人になってからも習得可能です。

この記事では、そもそも絶対音感とは何か、習得方法、絶対音感と相対音感の違い、絶対音感のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

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絶対音感とは

絶対音感とは

絶対音感(ぜったいおんかん)とは、音楽や音を聴いたときに、他の音と比べることなく、その音の高さを直感的に正確に判別できる能力のことです。

絶対音感を持っている人は、突然耳に入ってきた音の音名を瞬時に把握できます。また、楽器だけでなく、ドアのノックの音が『ド』だった、救急車のサイレンの音が『ミ』と『ラ』だったなど、日常生活で聞こえてくる音も音名で表現可能です。

絶対音感を持っている人は人口の0.2〜0.5%ほどとも言われる珍しい能力ですが、幼少期から適切な訓練を行うことで身につけることができます。

相対音感との違い

音感の種類には『絶対音感』と『相対音感』の2つがあります。

相対音感(そうたいおんかん)とは、相対的な音程の関係を把握する能力のことです。ある音を基準にして他の音との高低差を感じ取ります。

相対音感を持つ人は、例えば『ド』の音を鳴らしたときに「この音は基準の音(ド)よりも1つ上の音である」「この音は基準の音(ド)よりも3つ下の音である」などと、音程の差からどの音かを判別可能です。

一つの音を聴けばその音がどの音かわかる『絶対音感』に対し、『相対音感』は比較するための基準となる音がなければ、どの音であるかを把握することができません。

しかし、相対音感は適切な訓練を行えば、大人になってからも習得することができるというメリットがあります。

相対音感があると、聞いた曲をそのまま耳コピで楽器演奏ができたり、曲のメロディーやコード進行を把握できたりと、歌手や作曲など、仕事として音楽の道を目指す人は習得しておきたい能力といえるでしょう。

訓練で身に付けられる

絶対音感はこれまで、生まれつきの才能、先天的な能力であると思われてきました。しかし、近年の研究では、絶対音感は訓練によって身につけられることがわかっています。

ただし、絶対音感を身につけるためには、適切な時期にトレーニングを行うことが重要です。年齢を重ねるほど絶対音感を習得するための能力がなくなっていき、『臨界期』を超えると、絶対音感を身につけることは非常に困難になるとされています。

一般的に、絶対音感を身につけるための臨界期は6歳未満といわれており、それまでにトレーニングを行うことで絶対音感を習得できます。これは、子どものうちは聴力が発達途中であり、音感が身につきやすいためです。

聴力がすでに発達しきった大人の場合、訓練によって絶対音感を身につけるのは困難でしょう。

絶対音感を身につけるメリット

絶対音感を身につけるメリット

絶対音感を身につけると、さまざまなメリットがあります。ここからは、絶対音感を身につけるメリットを紹介します。

曲の覚えが早くなり暗譜しやすい

絶対音感を持つ人は、聴いた曲の音程を瞬時に正確に把握し、再現することができます。音がわかるため曲の覚えが早く、暗譜も簡単にできることがメリットです。

絶対音感を持っている人は、幼少期に音楽教育を受けているため音楽に対しての集中力が高く、記憶できる量も膨大になるといいます。

また、移調が多い曲の場合でも、素早く正確に把握でき、譜面を読むスピードも普通の人に比べると早いこともメリットでしょう。

絶対音感があると、他の人に比べて曲を覚える時間を減らすことができるため、その分、他のテクニックを磨くことが可能です。音楽の世界に進むのであれば、身につけておいて損はない能力といえるでしょう。

楽譜なしで聴いた曲を耳コピできる

絶対音感があると、曲を聴いただけでメロディーやコードの音程を楽譜に書き起こすことが可能です。そのため楽譜が無くても楽器を演奏でき、しかも正確に再現できます。

単に耳コピするだけでなく、自分なりのアレンジを加えたり、即興演奏などを行うときにも大切なスキルです。

絶対音感と合わせてピアノやギターなど楽器のスキルがあれば聴いた曲をその場で即興で演奏することもできるなど、自分の大きな強みにできるでしょう。

また、絶対音感があるとチューナーなしで楽器のチューニングができるようになります。音の間違いにも敏感になるため間違いがあれば自分で修正でき、楽器の習得も早くなるといわれています。

語学のリスニング習得が早くなる

絶対音感を持つ人は、音の高さや音程を正確に区別する能力が非常に高いことが特徴です。この音の高さを正確に感じ取る力は、語学学習においても有利に働くという説もあります。

絶対音感を持っている人は発音やアクセントの違いに敏感なため、英語など外国語の聞き取りや発音に優れ、語学の習得スピードが早くなることが期待できるでしょう。

絶対音感を身につけるデメリット

絶対音感を身につけるデメリット

絶対音感は、非常に珍しい能力であり、音楽を学ぶうえで大きな強みになるなど、多くのメリットがあります。しかしその一方で、いくつかのデメリットも存在します。

ここからは、絶対音感を身につけるデメリットについて詳しく見ていきましょう。

日常の音が耳障りになりやすい

絶対音感を持つ人は、音の高さや音程に対する感受性が非常に高いことが特徴です。ピアノやギターなどの楽器音だけでなく、日常生活で聞こえる音が頭の中で『ドレミ』といった音名に変換されて聞こえます。

そのため、日常的に耳にする環境音や雑音などが特に気になり、耳障りに感じることがあります。

例えば、道路や駅で聞こえる車のクラクションや電車のブレーキ音、車の走行音、風の音、鳥の鳴き声などが普通の人よりも敏感に反応してしまい、他のことに集中しにくくなることもあるでしょう。

音のある環境では他のことに集中できなくなってしまうため、絶対音感を持っている人の中には運転中は音楽を流さないという人もいるようです。

音楽を心から楽しめなくなる場合がある

絶対音感はとても珍しい能力であり、即興演奏などにも活用できるため、絶対音感を持っていない人からすれば「羨ましい」「音楽の世界が広がりそう」と思うかもしれません。

確かに、絶対音感を持つ人は音楽に対する理解力が高く、音楽の構造や音程を正確に把握可能です。その一方で、音楽を心から楽しめなくなることがあるというデメリットもあります。

一般の人の場合、楽曲やメロディー、歌詞などに共感しながら音楽を楽しみます。しかし、絶対音感の人の場合は、音楽やメロディーが音名で聞こえるため、『音楽』そのものを純粋に楽しむことが難しくなるケースもあるようです。

また、歌や楽器のほんのわずかな音程のズレにも敏感なため、カラオケで他の人が歌っている音程のズレが気になってストレスになったり、不快に感じたりしてしまうこともあります。

移調楽器に違和感を覚えてしまう

絶対音感を持っている人は、鳴った音がどの音程であるかを正確に判別できるため、移調楽器を演奏する際に違和感を感じたり、混乱してしまうことがあります。

移調楽器とは、楽譜に従って音を出しても、別の音が出る楽器のことです。クラリネットやサックス、ホルン、トランペットなどが移調楽器に含まれます。

移調楽器の場合、楽譜に書かれている音を鳴らしても、実際に鳴るのは別の音になるため、聞いただけで音名がわかる絶対音感の持ち主は違和感を感じてしまうことも多いようです。

相対音感は絶対音感より習得しやすい

相対音感は絶対音感より習得しやすい

他の音と比較することなく一つの音を聞いただけで音を判別できる『絶対音感』を身につけるには、幼少期からトレーニングする必要があります。絶対音感を大人になってから身につけるのは、かなり難しいでしょう。

しかし、相対音感であれば、年齢に関係なく、大人になってからでも習得できます。

そもそも、相対音感は特殊な能力ではなく、健康な人であれば程度の違いはあれど、誰でも持っている能力です。

カラオケでは多くの人が曲に合わせてメロディーを歌いますが、これは相対音感によって音を認識しているため。2つの音を聞いたときに、どちらが高いか・低いかがわかることも相対音感です。

「絶対音感の方が相対音感よりも優れている」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、音楽を学ぶ上で本当に重要なのは、絶対音感よりも相対音感だといわれています。

音楽では、一つの音をそれぞればらばらに聞くのではなく、音の流れとして捉えるためです。

新潟大学が公表する『日本の音楽学生は絶対音感が優れているが相対音感が弱いことが国際比較から明らかに〜日本の音楽教育の見直しを示唆する結果〜』という研究結果では、相対音感を伸ばすことの重要性について言及されています。

相対音感は、トレーニングによって能力を鍛えることが可能です。相対音感を鍛え上げれば音楽を学ぶ上で強みにできるため、「絶対音感を習得したかった」という人は相対音感の習得を目指してみてはいかがでしょうか。

相対音感を身につけるトレーニング法3選

相対音感を身につけるトレーニング法3選

ここからは、相対音感を強化して自分の強みにするためのトレーニング方法を紹介します。

耳コピを繰り返す

楽曲を聴いて耳だけでそのメロディーやコードを再現する『耳コピ』は、相対音感を鍛えるための効果的な方法です。

好きな楽曲を選んでリピート再生しながら、その楽曲のメロディーやコードを楽譜を見ずに耳で聴き取って、楽譜に書き起こしましょう。楽譜にまですることで、音階をしっかり把握できます。

耳コピした曲を繰り返し演奏したり、声に出して歌ったりすることで少しずつ能力を高めていくことができるでしょう。

楽器を演奏する

楽器を演奏することも、相対音感を身につけるために効果的です。楽器を持っている人は、毎日楽器を演奏することで相対音感を鍛えることができるでしょう。

楽器を演奏する際のポイントは、『必ず音程を正確に合わせる』ということです。

楽器はさまざまな要素に影響されてチューニングがズレてきてしまうので、演奏前にチューニングが合っているかチューナーでチェックして、正確な音程に合わせてから演奏しましょう。

音階トレーニング

鳴らした音に合わせて音階を声に出す、音階トレーニングも簡単にできる訓練方法です。

楽器を使って、『ドレミ』などの音階を出し、それに合わせて声を出してみましょう。楽器がなければ、音感を鍛えるためのトレーニングアプリもあるので、それらを使うのもおすすめです。

相対音感の習得を目指すならプロからトレーニングを受けるのがおすすめ!

相対音感の習得を目指すならプロからトレーニングを受けるのがおすすめ!

音楽の道に進みたいと考えている人は、絶対音感や相対音感といった『音感』を身につけておくと大きな強みにできるでしょう。

絶対音感はトレーニング次第では習得可能ですが、子どものうちに訓練を受ける必要があり、おとなになってからの習得は非常に困難です。音感を習得したいと考えている人は、相対音感の習得を目指すといいでしょう。

相対音感の習得を目指すなら、プロによるトレーニングを受けるのがおすすめです。

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まとめ

絶対音感とは、一つの音を聞いただけで音名がわかる能力のことです。大人になってからの絶対音感習得は難しいものの、相対音感であれば習得可能です。

音感は、音楽の仕事をする人だけでなく、アニメやゲームのキャラクターソングや主題歌を歌う機会のある声優を目指す人にとっても強みとなる能力です。

能力を習得しておくことで、自分の可能性やチャンスを広げ、多彩な活躍につなげられるでしょう。

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