業界ナビ:リップロールとは?習得する7つのメリットと正しいやり方を紹介!
リップロールは、ボイストレーニングで行われている練習法の一つです。
リップロールは歌唱力や表現力をアップする効果があるため、ボイストレーニングに取り入れたいという方もいるでしょう。歌手や声優の仕事に就きたいという方は、ぜひ習得しておきたい練習法です。
リップロールは、正しく行わないと効果を得ることができません。また、やり方によっては声が小さくなって逆効果になる場合もあります。
この記事では、リップロールの正しいやり方をはじめ、習得するメリットやできない原因を詳しく紹介します。
歌は正しい練習を積むことによって上手になります。しかし、練習といっても具体的に何をしたらよいのかわからないという方もいるでしょう。歌の練習は、練習法やアプリを使用して自宅で行うこともできますが…続きを読む
リップロールとは
リップロールとは、名前の通り唇をプルプル震わせながらロールさせるボイストレーニングです。
歌声を鍛えるために効果的な方法で、プロのシンガーも歌唱力の維持や上達のために行っています。唇の振動を利用することによって、声帯や内外の咽頭筋をほぐせるため、歌う前のウォーミングアップにもおすすめです。
下記のような方にもリップロールをおすすめします。
- 音域を広げたい
- 練習する場所がない
- 短い時間で歌の練習がしたい
リップロールは自宅でも行うことができて、練習のために必要な道具もありません。空いた時間を使って練習できるのも魅力といえるでしょう。
しかし、簡単そうに見えて実際にやってみると意外と難しいと感じる方も多く、間違ったやり方で練習しているケースもあります。
正しい方法で練習しないと効果を得ることはできないため、正しいやり方を知ることが大切です。
また、リップロールに似たボイトレにタングトリルがあります。こちらは上の歯の根元に舌先をあてて、息を吐いて舌を「トゥルルル」と振動させる練習法となるため、リップロールと混同しないように注意しましょう。
リップロールを習得するメリット7選
リップロールを習得することでさまざまな効果が得られます。ここでは、リップロールを習得するメリットを7つ紹介します。
地声と裏声が切り替えやすくなる
リップロールには、地声と裏声が切り替えやすくなるメリットがあります。
リップロールで地声と裏声の切り替えがしやすくなるのは、呼吸量を一定にして口の形を固定して発声するためです。地声も裏声も、一定の呼吸量をキープしなければならないのは共通です。
裏声を出すときに声が裏返るのは息の量が多すぎるためで、唇を閉じた状態のリップロールは息の量を抑えられるため、裏声を出しやすくなります。
横隔膜と呼吸筋が鍛えられる
リップロールを行うことで、呼吸筋や横隔膜を鍛えられるメリットがあります。
呼吸筋は発声に必要な息の圧力を生み出すために必要で、十分な筋力がないと喉に対して大きな負担をかけてしまいます。さらに呼吸筋が強くないと、喉開けができずに声が裏返ることや喉を痛める原因にもなるため注意が必要です。
呼吸筋の中でも特に重要となるのが、胸部の下にある横隔膜です。肺から空気を吸い込んだり吐いたりしている部位となるため、横隔膜を鍛えることは声帯への空気をより供給しやすくします。
横隔膜は感知が難しい筋肉ですが、腹筋や背筋などをして鍛えることも可能です。しかし、リップロールであれば、筋トレのような激しい運動は必要なく、少ない負担で横隔膜を鍛えられます。
全身をリラックスできる
リップロールが歌う前のウォーミングアップで用いられることが多いのは、全身をリラックスできる効果があるためです。
リップロールで体の力が抜け、リップロール終わりに深い呼吸を加えることによって自律神経も整うため、高いリラックス効果が得られます。
自律神経は交感神経や副交感神経で形成される神経となるため、これらの神経のバランスを整えることは幸せホルモンの分泌にもつながります。
歌う前の緊張したときにリップロールを行うことで、体や喉周辺、表情筋の硬直を解いて声をスムーズに出しやすい状況が作れます。
リラックスした状態であれば、本来自分が持っている能力を発揮しやすいです。
正しい音程を取りやすくなる
リップロールは声の音程で上下させるため、練習を重ねることによって正しい音程が取りやすくなるメリットがあります。
正しい音程を取るためには声帯の開閉が重要で、上手にコントロールしなければなりません。リップロールでさまざまな音域の発声を行うことによって、声帯の開閉がスムーズになり、普段は出すことが少ない音程もカバーできるようになります。
また、リップロールで出す音は自分の耳にも入りやすく、音が取れているかどうかの判断がつくため、自分の歌声を録音して聞いてみて、音を外すことが多い場合もリップロールは有効です。
体幹が鍛えられて姿勢がよくなる
リップロールを行うことで、体幹が鍛えられて姿勢がよくなるメリットがあります。
リップロールには安定した息の供給が必要であり、そのためには体幹が重要です。体幹が鍛えられると姿勢が改善されて、声量が大きくなって安定した声を出せるようになります。
もちろん、歌うときも声を出すときも体幹は重要です。体幹を鍛えたい方はリップロールを継続して行ってみましょう。
声量を調整しやすくなる
リップロールには声量を調整しやすくなるメリットがあります。
なぜなら、リップロールは喉に力を入れることができず、息の量やスピードで声量を上げていくため、自然と声量をコントロールする力が身につくためです。
声の大きさは「息の量×変換効率」で求めることができるため、息の量を操ることによって自由自在に歌声の大きさを調整できます。
また、リップロールは音程を取りやすくなる効果もあるため、声量をコントロールできるようになるとミックスボイスの習得にもつながるでしょう。
声帯を保湿できる
リップロールは口を閉じながらのトレーニングになるため、口腔内の乾燥を抑えることができて声帯の保湿につながります。
発声練習を行うと途中で喉が乾くのは、口腔内が乾くことも原因の一つです。それによって声帯が乾いてしまうと、喉への負担が大きくなって痛めることにもつながります。
リップロールは、ボイストレーニングの中でも声帯の保湿ができる安全なトレーニングです。
しかし、リップロールだけで完全に保湿ができるわけではないため、練習を行うときは定期的に水分を補給することを忘れないようにしましょう。
リップロールの正しいやり方を3ステップで紹介
リップロールは正しく行わないと効果を得ることができません。ここでは、リップロールの正しいやり方を3ステップで紹介します。
ステップ1:力を抜いて軽く唇を閉じる
リップロールを行うときは、力を抜いて軽く唇を閉じましょう。このときに力が入っていたり、唇を強く閉じたりしていると安定した声が出せません。
リップロールは一定量の空気を吐き続ける必要があるため、しっかり空気を吸っておくことも大切です。息を吸うときは鼻から吸うのがポイントで、口で吸うと口内が乾きやすいため控えましょう。
また、唇を閉じるときは少し前に突き出した状態で息を吐くのもポイントです。唇をゆるませないような感じで閉じながら、少し前に突き出すことによって唇が振動しやすい状態を作ります。
ステップ2:口角を上げて唇を振動させる
息をしっかり吸い込んだら、口角を上げて唇を振動させましょう。
リップロールは唇をプルプルしながら発声するだけで出来ますが、まっすぐ向いて行うと振動しにくいため口角を上げることをおすすめします。また、唇が安定しないことで震わせられない場合は、両頬の下を指で抑えて固定するのもよいでしょう。
リップロールは簡単そうに見えるものの、実際にやってみると難しいと感じる方も多くいます。最初から上手くいくとは限らないため、振動させることができなくても問題ありません。
効果を得るためには続けることが重要となるため、お風呂や寝る前のように習慣化しやすいタイミングで行うのがよいでしょう。
ステップ3:腹筋を意識しながら息を吐く
リップロールが上手くできないときは、腹筋を意識しながら息を吐いてみてください。
お腹に手を当てながらリップロールを行い、お腹に力が入っていれば腹筋が使えています。リップロールは腹式呼吸となるため、正しい方法であれば腹筋に力が入っているはずです。
リップロールで腹筋に力が入らない場合は腹式呼吸を先に覚えておきましょう。腹式呼吸のやり方は下記の通りです。
- 呼吸をするときは鼻からゆっくりおへその下に空気を溜めるイメージ
- 吐くときはゆっくり体の仲の悪いものを出し切るイメージ
- 吸うときの倍以上の時間をかけて吐き出す
腹式呼吸は呼吸のコントロールがしやすくなることで、安定した声量や音程が取りやすくなるメリットがあります。
リップロールができない原因
リップロールを習得するためには練習が必要となりますが、やり方が間違っていることでできないケースもあります。ここでは、リップロールができない4つの原因を詳しく解説します。
唇の乾燥
唇が乾燥していると息が漏れやすくなり、リップロールを続けることができなくなります。
特に、「前までリップロールができていたのに急にできなくなった」「秋や冬のように空気が乾燥している時期にリップロールができなくなった」場合などは、唇の乾燥による可能性が高いです。
このような場合は、リップクリームで保湿してからリップロールを試すか、水を飲むことや唇の内側を唾液で湿らすことが効果的です。
また、唇が乾燥していると口腔内や声帯が乾燥している可能性が高いため、喉を痛めないためにも水分をとって口内の乾燥を防ぎましょう。
力が入りすぎている
リップロールは唇をはじめ、頬や顎などの口周りに力が入りすぎているとうまくできません。
唇を固く閉じた方が震わせやすいと思う方もいるかもしれませんが、実際には脱力しているほど唇は震わせやすくなります。
また、体全体に力が入っている場合や体の一部に力が入っている場合に、力の抜き方がわからない場合は「筋弛緩法」がおすすめです。
筋弛緩法は、力を入れると体は勝手に脱力するという方法を利用したリラックス法で、力を抜きたい個所にグッと力を入れるとそのあとは自然に脱力できるという体の仕組みを利用しています。
特に歌う前のウォーミングアップでリップロールを行うときは緊張しているケースが多いため、いつも以上に力を抜くことを意識しましょう。
息が漏れている
リップロールが上手くできない原因として息漏れがあります。
息が漏れる原因として多いのは、下唇と上唇を重ねたときに隙間ができることです。唇に力を入れすぎるのもリップロールが上手くできない理由ですが、力を入れずに唇に隙間が生じる場合は多少力をいれる必要もあります。
繰り返してリップロールを行い、ちょうどいい力加減を見つけることが大切です。また、リップロールを何度しても息漏れする場合は、やり方を間違っている可能性があります。間違った方法で続けても効果は得られないため、やり方を見直してみましょう。
息を吐ききれていない
リップロールが上手くできない原因として、息を最後まで吐ききれていないことが挙げられます。
息が吐き切れない理由として多いのは、腹式呼吸ができていないケースです。腹式呼吸の基礎を重ねて、吐き切る練習を行いましょう。限界まで息を吐き切る練習を繰り返すことで、息を吐ける時間も長くなります。息を吐ききる時間は10秒を目安にしてください。
また、リップロールでは息をたくさん吐く必要はありません。普段の会話の声量よりも小さい声を心がけて行いましょう。
ボイトレはプロからしっかり学ぶのがおすすめ!
リップロールは正しい方法で行わないと唇を震わせることができず、効果を得ることができません。
自己流で行う場合はクセをつけないようにする必要もあり、間違ったやり方だと喉を痛める原因になるため注意しましょう。
リップロールはボイトレの一つであり、他のトレーニング方法と組み合わせることで効果を高められます。自己流ですべてのトレーニング方法を習得することは難しいため、リップロールや他のトレーニング方法を習得したい場合はプロに教えてもらうのがおすすめです。
代々木アニメーション学院では、アーティストとして必要なボイトレからリズムワークまで、基本から応用まで幅広く学ぶことができます。もちろん、リップロールを習得することも可能です。
ボイトレに通うなら、まとまった時間が必要になると思う方もいるかもしれません。しかし、代々木アニメーション学院なら週1回コースもあるため、学校や仕事のスケジュールと調整しながら自分のペースで学べます。
プロの本格的なボイトレを学びたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
リップロールを正しく行うためには、適度に力を抜いた状態で口角を上げながら鼻で息を吸い、唇を震わせることを意識しながら時間をかけて息をゆっくり吐きます。
腹式呼吸ができないと正しいリップロールができないため、上手くできないときは腹式呼吸の習得も必要です。リップロールの正しい効果を得るためには、正しい手順で行いましょう。
確実にリップロールを習得するためには、プロの指導を受けることをおすすめします。代々木アニメーション学院では、プロからリップロールをはじめとするさまざまなボイトレが受けられます。
ボイトレをして歌が上手になりたい方、歌手になりたい方、歌の基礎が知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。