業界ナビ:ファルセットとは?上手に出す3つのコツとおすすめ練習法を紹介!
歌で高音域を出すときに使われる『ファルセット』。柔らかく繊細さのある優しい響きが特徴のファルセットは、歌の表現力を広げるために欠かせないテクニックです。
「上手くファルセットが出せない」「裏声とファルセットは同じじゃないの?」とお悩みの方も少なくないようですが、コツを押さえてしっかり練習を繰り返せば、美しいファルセットが出せるようになります。
この記事では、ファルセットとは何か、裏声やミックスボイスとの違い、上手にファルセットを出すコツや練習方法、男女アーティスト別のおすすめ練習曲を紹介します。
ファルセットは、バラード系の歌を歌ったり、喉に負担を掛けずに高音域を出したりするときには必須ともいえるテクニックです。コツを掴んで、今まで以上に気持ちよく、楽しく歌えるようにしましょう。
目次
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ファルセットとは
ファルセットとは、歌うときに高い音域を出すために使われる発声テクニックのことです。『falsetto(ファルセット)』はイタリア語で、「仮声」と訳されることもあります。
ファルセットは声を出すときの息の量が多く、喉を緊張させすぎずリラックスして発声するため、柔らかで繊細な声になることが特徴です。
単に高音域が出せるというだけでなく「きれいで繊細」「淡く儚げ」「優しく切ない」などの響きを出したり歌に豊かな感情を込めたりと、歌唱の表現力が大きく広がり、聴く人を引き付ける歌を歌えるようになります。
ソウルやゴスペルなどで使われる他、ポップス、ロック、R&Bなどの現代の音楽ジャンルでもよく使われているテクニックです。バックコーラスでハーモニーを構築する際にも重要な役割を果たします。
裏声との違い
ともに高い音を出すためのテクニックである『ファルセット』と『裏声』は同じ意味だと思われがちですが、厳密には違いがあります。
裏声にはいくつかの種類があり、そのうちの一つが、ファルセットです。
ファルセットの他の裏声としては、オペラ歌手などがよく使う頭に響くような裏声『ヘッドボイス(頭声)』、裏声と地声の中間に位置する声『ミックスボイス(ミドルボイス)』、超ハイトーンボイスや超高音発声ともいわれ人間が出せる最も高い声の『ホイッスルボイス』があります。
ミックスボイスとの違い
ミックスボイスとは裏声の一種で、裏声と地声を混ぜたような中間に位置する声のことです。ミドルボイスと呼ばれることもあります。
ファルセットは柔らかく繊細な声になりますが、ミックスボイスの場合は地声のような力強さや安定感がある声になることが特徴です。
低音域から高音域まで自由自在に出すことができ、喉に負担を掛けずにハイトーンボイスを出せるというメリットがあります。
力強さを出したいときはミックスボイス、繊細さを出したいときはファルセットなど、両方のテクニックを使い分けることで表現の幅が広がるでしょう。
上手にファルセットを出すコツ3選
上手にファルセットを出すためには、呼吸法や喉を開く感覚などを身につけることが大切です。コツを押さえたトレーニングを行い、きれいなファルセットを出せるようにしましょう。
ここからは、ファルセットを上手に出すための3つのコツを解説します。
腹式呼吸
ファルセットを上手く出すためには、適切な呼吸法が非常に重要です。
横隔膜を意識して深く呼吸する腹式呼吸はファルセットに限らず、歌唱や正しい発声に欠かせない呼吸法であるため、ぜひマスターしておきましょう。腹式呼吸には、声量がアップする効果や、リラックスすることで不自然な力みのない伸びやかな声が出せるというメリットもあります。
声を出すときに声帯・舌筋・表情筋に力が入ると声帯が強く締まりやすくなるため、発声練習時には腹式呼吸を行って体から余計な力を抜き、リラックスするといいでしょう。
以下は、腹式呼吸の基本的な手順です。
- 1.背筋を伸ばし、両足を軽く開いて立つ
- 2.お腹に手を当てる
- 3.口を閉じ、鼻からゆっくりと息を吸う。このとき、胸よりもお腹が膨らむように意識する
- 4.口を少し開け、ゆっくりと息を吐く。このとき、お腹を徐々に引き締めるようにする
吸い込める息の量が多い腹式呼吸をマスターすれば、歌うのに十分な息を確保し、ファルセットをしっかりと支えることができます。
喉を開く
ファルセットを出す際には、喉を十分に開くことが大切です。喉を開くことで十分な空間が生まれ、高い音域を出しやすくなります。
喉を開くというと、口を大きく開けることをイメージするかもしれませんが、ただ口を大きく開けるだけでは、喉は開きません。喉を開くためには、舌根(舌の根元部分)を下げる必要があります。
喉を開く感覚がよくわからない人は『あくび』をイメージしてみましょう。あくびをするときは、舌根が自然に下がります。試しにあくびをしてみると、喉を奥が広がる感覚を感じられるはずです。
声帯が開きやすい「フー」「ホー」といった声を出す練習をして、喉を開く感覚を掴んでみましょう。
頭の先から声を出すイメージで歌う
ファルセットは、頭の上部、特に頭の先から声を出すイメージで歌うと、きれいな声が出しやすくなります。
口を「お」の形にして、頭に響かせて頭の先から声を出すイメージで「フー」と発声すると、柔らかく繊細な声が出せます。
このとき、大きな声は出そうとしなくてOK。自分の出しやすい声の大きさで、頭の先から声を出すイメージを持って声を出します。声が頭に響く感覚が掴めるようになるまで練習を繰り返しましょう。
ファルセットのおすすめ練習法3選
ファルセットをきれいに出すためには、繰り返しトレーニングして感覚を掴むことが大切です。ここでは、ファルセットを上達させるためのおすすめの練習法を3つ解説します。
リラックスして体をほぐす
ファルセットの練習を始める前に、身体をリラックスさせることが大切です。緊張した状態でファルセットを出すと、声帯にも力が入り、きれいな高音が出せません。
ファルセットの練習前には、体をほぐしてリラックスすることを心掛けましょう。肩や首を軽く回したり、体を前後に倒したりする軽いストレッチを行ってから声を出すと、体の緊張がほぐれて、発声しやすくなります。
リラックス効果のある腹式呼吸も合わせて行うといいでしょう。
地声と裏声を切り替える
ファルセットを出すときは、通常の地声(チェストボイス)とは違った方法で発声します。
そのため、地声と裏声を切り替える練習をしておくと、ファルセットを安定させることができます。また、歌唱中にもスムーズに声色の切り替えができるようになるでしょう。
トレーニングは、同じ長さの地声と裏声を切り替えるようにして行います。イメージは、救急車のサイレン音『ピーポーピーポー』です。『ピー』で地声を出し、『ポー』で裏声を出します。
まずは慣れるために、声音の切り替えだけに集中して行うのがポイントです。段々と切り替えが素早くスムーズにできるようになり、音程も安定するようになります。
さまざまな母音を試してみる
まずは、声帯が開きやすい母音の『u』や『o』でファルセットの練習をしてみましょう。
『u』や『o』できれいなファルセットが出せるようになったら、母音を変えてトレーニングをすると、ファルセットが出しやすくなります。
さまざまな母音でファルセットを出すことで、テクニックも上達し、柔軟に使いこなせるようになるでしょう。いずれの母音でも、力まずにリラックスしてロングトーンを発声することが大切です。
ファルセットを鍛えるメリット
トレーニングによってファルセットを鍛えると、高い音域が出せるようになるだけでなく、さまざまなメリットがあります。ここからは詳しく見ていきましょう。
透明感のある声を出せるようになる
ファルセットによる発声の大きな特徴が、透明感のある声の響きです。
クリアで軽やか、繊細な響きのファルセットは、特に感情豊かな楽曲やバラード、スローテンポの曲など、感動的な表現が求められる場面でとても効果的な歌唱方法です。
もちろん、アップテンポの曲やロックなどでもファルセットのテクニックを活用できます。ファルセットを習得することで、歌による表現の幅を大きく広げることができるでしょう。
声が力強くなる
ファルセットを練習すると、輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)という筋肉を鍛えることができます。輪状甲状筋とは、喉の周囲にある筋肉で、主に音程の調整を行う筋肉です。
輪状甲状筋が鍛えられると高い声が出しやすくなることに加えて、高音域が力強く歌えるようになります。「高音域になるとか細い声になってしまう」という人も、ファルセットを練習することでしっかりとした力強い声をつくっていけるでしょう。
高音域の持続力も高まるため、ロングトーンも安定して出せるようになります。
また、ファルセットを上手く出せるようになると、高音域を出すときに喉に余計な負担を掛けずに歌えるようになることもメリットです。
高音をコントロールしやすくなる
高音域の発声を自由にコントロールしやすくなることも、ファルセットを鍛えるメリットです。
ファルセットのトレーニングをすると輪状甲状筋が鍛えられ、声帯の柔軟性が向上します。これまでは高すぎて上手く歌えなかった歌も、楽に声が出せるようになるでしょう。
苦しい状態で無理をして歌うのではなく、のびのびと声が出せるようになるため、今まで以上に歌うことが楽しくなるはずです。
【男性編】ファルセットのおすすめ練習曲3選
ここからは、ファルセットの練習におすすめの男性アーティストの曲を紹介します。どれも一度は耳にしたことがある有名な曲ばかりなので、ぜひファルセットのトレーニングを行ってみてください。
さくら/森山直太朗
繊細なファルセットが使われているのが森山直太朗さんの代表曲の一つである『さくら』です。
スローテンポで穏やかなメロディーで、曲のあちこちにファルセットが使われています。男性もファルセットの練習がしやすい曲です。
森山直太朗さんは低めの音程でも裏声を使うなど、裏声を多く使うことが多く、ファルセットの練習にはぴったり。ファルセットの他にもビブラート、ロングトーンなどの歌唱テクニックが必要とされる一曲なので、歌唱力を高めたいという人にもおすすめです。
ロビンソン/スピッツ
日本のロックバンドであるスピッツの楽曲である『ロビンソン』もファルセットの練習におすすめです。
明るくキャッチーなメロディーが特徴のこの曲は、ボーカルの草野マサムネさんは簡単に歌っているように見えるものの、サビでは高い音が続くため難易度は高め。
しかし、練習してサビ部分の地声とファルセットの切り替えができるようになれば、テクニックも向上するためおすすめの一曲です。
白日/King Gnu
透明感ある歌声から始まるKing Gnuの『白日』もファルセットの練習におすすめの曲です。
ボーカルの井口理さんは東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業しており、高い歌唱力で知られるアーティストの一人。白日でも美しいファルセットを披露しています。
裏声で歌う部分も多く、曲自体の難易度も高めなので、最初のうちは部分的に練習するのがおすすめです。
【女性編】ファルセットのおすすめ練習曲3選
ここからは、ファルセットの練習におすすめの女性アーティストの曲を紹介します。どのアーティストの曲もきれいなファルセットが使われているので、トレーニングしてファルセットのテクニック磨きをしてみてください。
君の知らない物語/supercell
supercellの『君の知らない物語』は、女性のファルセット練習におすすめの曲です。
曲全体でファルセットが使われている部分が多く、音域も高いため難しい部分もありますが、何度も練習することで裏声と地声の使い分けも上達するでしょう。
テンポも早めの曲なので、バラードではないアップテンポの曲でファルセットを練習したいという人にもおすすめです。
三日月/絢香
カラオケでも人気の高い名バラード、絢香さんの『三日月』もファルセットの練習におすすめです。
女性歌手の中では比較的音域が低く、テンポもゆっくりなので、ファルセットが苦手な人が練習するのにぴったりの曲といえるでしょう。
呼吸のコントロールは難しめですが、『三日月』をしっかりマスターして歌えるようになれば、総合的な歌唱力は大きく高まるためぜひ練習してみましょう。
カブトムシ/aiko
1999年にリリースされたaikoさんの『カブトムシ』は時代が流れた今でも人気の高い定番ラブソングです。
テンポも早くなく、一見簡単そうに見えますが音程が取りづらい部分もあり、表現力も求められます。中でも聴かせどころは、サビのラスト部分のファルセットです。
この曲の最大のポイントともいえる部分なので、練習してマスターしましょう。
ファルセットはプロから教わるのがおすすめ!
声は目に見えないため、トレーニングや、コントロールするのが難しいと感じることもあるでしょう。
中には「そもそも自分はちゃんとファルセットを出せているのかわからない」「練習してもファルセットが上達しない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そんなときは、プロの指導を受けるのがおすすめです。ファルセットは、トレーニングすることで身につけたり、鍛えたりできる『テクニック』です。
代々木アニメーション学院では、『ファルセット』の他にも『ミックスボイス』『ボイスチェンジ』『腹式呼吸』などのボイストレーニングはもちろん幅広いジャンルの楽曲の歌唱、業界最高基準の音響と照明設備を持つ『YOANI Live Station』でのライブ実習など、歌に関することを基礎からしっかりと学ぶことができます。
まずはぜひ、気軽にオープンキャンパスに参加してみてください。
まとめ
ファルセットを習得すると、高音域が出しやすくなり、自分の表現力をより広げることができます。
歌うのが難しいといわれるジャンルの一つであるキャラソンも、ファルセットを身につければ感情豊かに歌いこなすことができるでしょう。
また、喉に負担を掛けずに声を出すことができるようになるため、声を使う仕事をする上では必ず身につけておきたいスキルの一つでもあります。
「もっとファルセットをきれいに出せるようになりたい」「色々な発声テクニックを身につけたい」という人は、プロによる指導を受けるのもおすすめです。
代々木アニメーション学院では幅広いジャンルの歌唱レッスンを行っており、基礎からしっかりと学ぶことができます。
週1コースもあるため、忙しい人も諦めずに夢を追いかけられます。無料相談会も行っているので、ぜひまずは一度お気軽にお問い合わせください。