業界ナビ:原画とは?アニメ制作における原画作成の工程と仕事内容を解説

原画とは?アニメ制作における原画作成の工程と仕事内容を解説

アニメ制作の現場では、さまざまな工程を担当分けして一つの作品を作り上げています。

そのなかでも、原画マンが作成する原画はキャラクターや背景を動かす際の基盤となる重要な部分です。

描かれた原画をもとにアニメの動きが作られていくため、原画が作品の完成度や魅力を左右するといっても過言ではありません。

この記事では、原画の基礎知識や、アニメ制作における原画作成の工程と仕事内容について詳しく解説します。

アニメ制作工程


原画とは?

原画とは?

アニメの中で動くキャラクターや背景は、連続した絵のフレームが高速で再生されることにより動きが生まれます。

各フレームを作画するための動きのポイントとなる絵が、原画です。

原画マンは設定資料や指示に基づいてキャラクターの動きや表情、物語のシーンなどを原画に起こします。

原画が仕上がった後には、原画と原画をつなぐ中割りという作業が行われ、彩色、最終的にアニメが完成していきます。

原画はアニメ制作のプロセスの中でも初めに描かれるため、アニメ全体の完成度や魅力を左右する大切な絵です。

アニメ制作において、原画は作品の特徴や魅力を生み出す重要な存在であり、アニメの中で動くキャラクターたちに息を吹き込む第一歩だともいえるでしょう。

第一原画と第二原画

第一原画と第二原画

原画には、ラフ画となる第一原画と清書になる第二原画があります。

ここでは、第一原画と第二原画について解説します。

ラフな原画が第一原画

第一原画とは、キャラクターや背景などの基本的な動きを捉えたラフ画です。略して一原、ラフ原とも呼ばれます。

アニメ制作の最初に描く基本的なスケッチであり、制作の基礎となります。

第一原画を描く段階では細部にこだわらず、キャラクターの演技やアクションの流れを捉えることが重要です。流れがしっかりと描かれることで、後の制作段階での作業がスムーズに進み、完成度の高いアニメが生まれます。

また、原画マンが描く第一原画が作品の動きや雰囲気を左右させ、魅力的なアニメを作る役割を果たしています。

アニメ制作では、第一原画が描かれたら演出監督や作画監督に提出してフィードバックをもらい、修正や第ニ原画を描く工程へ移行します。

清書が第二原画

第ニ原画は、演出家や作画監督からのフィードバックをもとに描く清書となる原画です。省略して二原とも呼ばれます。

第二原画を描く工程では、第一原画の修正をしたり、ラフ画として描かれた第一原画の線や色を整えるトレース作業を行って原画を仕上げていきます。

第一原画の段階では、描かれた線が乱れていることがあるため、乱れを修正してアニメに適した形に整えるのが第二原画で行われる作業です。

清書作業が行われることで、原画が正確で滑らかな動きを持つアニメの基礎となります。

アニメ制作現場において、第一原画はアイディアの基礎に対して、第二原画はそのアイディアをより具体化してアニメに命を吹き込む役割を果たしています。

第一原画と第二原画の工程が分かれることで、フィードバックのタイミングが明確化され、作業効率やクオリティのアップを期待できます。

原画担当(原画マン)になるまで

原画担当(原画マン)になるまで

原画担当(原画マン)は、絵コンテや設定資料をもとに、一つひとつのシーンを原画として描いていくため、技術や知識、クリエイティブな発想力が必要な仕事です。

ここでは、原画マンになるまでに必要なステップについて解説します。

原画を見て技術や知識を学ぶ

アニメ制作において、原画は最初に描かれる絵であり、アニメの完成に大きな影響を与える重要な役割を担っています。

そのため、受け取った原画から学べる技術や知識は多くあります。

例えば、キャラクターの動き、どのような画風で描かれているのかを学ぶことが可能です。原画を見ることは、アニメ制作における技術や知識を学ぶうえで貴重な経験となるでしょう。

また、原画の描き方だけでなく、アニメ制作現場の背景にあるプロセスや作業、制作全体の流れを知るキッカケにもなります。

原画はアニメ制作の基盤であり、技術や知識の宝庫です。原画マンを目指すのであれば、原画を通じて技術や知識を深めていくのがおすすめです。

専門学校で専門的な知識を身につける

アニメ制作において原画は重要な役割を担っていますが、描くためには専門的な知識が求められます。

アニメ業界で原画マンのキャリアを築くためには、専門的な学びと経験が欠かせません。そのためには、専門学校でアニメ制作における知識や技術を身につけていきましょう。

動画マンとしての経験を積む

原画マンとして活躍するためには、動画マンとしての経験が大切です。

原画マンの仕事はアニメ制作における基礎となる部分の作成であり、キャラクターのデザインや動きを描く役割を果たしています。

しかし、アニメ制作は原画だけで作られるものではないため、動画マンの役割を理解して連携する力も必要です。

動画マンから原画マンへの昇格は1~2年ほどの経験が必要とされており、動画マンとしての経験を積み、アニメ制作のプロセス全体の理解を深めることでスムーズな作業を実現できます。

アニメ業界では、一つのスキルに絞られず、原画から動画まで幅広いスキルを習得することが大切です。

動画マンとしての経験を積むことで、原画マンへの昇格にとどまらず、アニメ制作全体に貢献できるスキルを身につけることができるでしょう。

プロ原画マンの描き方

プロ原画マンの描き方

現役で活躍するプロの原画マンによる描き方には、共通した原画の描き方があります。ここでは、プロの原画マンによる原画の描き方を解説します。

最初は大雑把にバランスを決める

プロの原画マンは、最初は大雑把に描き全体のバランスを決めていきます。

原画はアニメ制作の基盤となるため、丁寧に描くことが大切だと思われがちですが、大雑把に全体のバランスを考えて描くことで最終的な仕上がりが良くなります。

描く絵のクオリティばかりを気にしてしまうと、キャラクターの配置やポーズ、場面の雰囲気が伝わらず、アニメ全体の印象を大きく変えてしまいます。

丁寧に描くことも大切ですが、プロの原画マンが第一原画となるラフ画で大切にしているのは、アニメのストーリーや雰囲気、キャラクターの特徴を理解して表現することです。

作品の雰囲気やキャラクターの特徴といった全体のバランスを汲み取れる原画を描くことで、最終的に修正も少なくなり、後の細部の描写がスムーズに行えます。

描きながら細部まで修正を加える

プロの原画マンは、一度で完成を求めず修正を加えながら描いていきます。

一度で良い原画を作ろうとする意識も大切ですが、描いた原画を色々な角度から見て確認して修正することで原画の完成度が上がります。

修正を前提としない原画の場合、全体の構図を把握できず作品の雰囲気を伝えられない場合があるため、プロの原画マンは修正しながら描きあげていくのです。

また、原画の描き方は原画マンによっても異なりますが、デジタルツールを使って描くことで修正が柔軟に行え、制作の効率も向上します。

しかし、どのようなツールを使ってもプロの原画マンは繰り返しの修正作業は欠かせません。修正を重ねて描きあげられた原画は、作品の魅力を最大限に引き出す要となるでしょう。

表現できる部分に妥協しない

プロの原画マンは表現できる部分に妥協しません。

例えば、毛先や服のシワなど細かな部分を妥協せずに描いていくことで、よりリアルでクオリティの高い作品ができあがり、視聴者に作品の魅力を最大限に伝えることができます。

細かな部分の原画作成は手間暇のかかる作業となりますが、その妥協しない努力が作品のクオリティアップにつながるでしょう。

そのため、プロの原画マンには、表現可能な部分は妥協せず、作品の魅力を最大限引き出す力が求められます。

原画を描くために必要な力

原画を描くために必要な力

原画を描いていくためには、さまざまな専門的な知識や技術が必要です。ここでは、原画を描くために必要な力について解説します。

レイアウトも同時に考える力

原画を描くためには、レイアウト(画面構成)を同時に考える力が必要です。

レイアウトとは、画面の中でのキャラクターの配置や背景のパースなどの要素が具体的に描かれた資料であり、原画マンはまずレイアウトを描いた後に原画を制作します。

キャラクターの位置や構成が適切でない場合、作品の魅力や特徴を最大限引き出すことができません。

そのため、原画を描くためには、正確なレイアウトを作成しておく必要があります。

原画をスピーディーに描ける能力

原画マンには、何枚もの原画を描ける能力が求められます。

アニメ制作では、30分ほどの動画で200~300カットの原画が必要になってくるため、原画マンには絵をスピーディーに描ける能力が必要です。

しかし、原画を描くためにはすばやく描く能力とあわせて画力も必要になります。

原画にはキャラクターの表情や動き、雰囲気などの表現が求められるため、絵を描くスピードとともに作品の魅力を伝えられるような能力を身につけましょう。

単なる速さだけでなく、クオリティを保ちながら大量の原画を描く必要があるため、デッサン力や構図を決めるスキルも不可欠であり、これらのスキルを身につけることが重要です。

原画を描くには時間が膨大にかかる

原画を描くには時間が膨大にかかる

アニメの規模によっても異なりますが、1話のアニメ制作に携わるスタッフは200人弱で、原画に関わる原画マンは20~30名ほどだといわれています。

原画はアニメの基盤となる重要な部分ですが、原画を描いて完成させるまでには膨大な時間が必要です。ここでは、アニメ制作における必要な原画枚数などを解説します。

1話30分の作品で300カット以上の原画が必要

アニメ制作では、1話30分の作品で300カット以上の原画が必要です。この膨大な数の原画は、キャラクターの動きや表情をリアルに表現するためには欠かせません。

アニメは1秒間に24フレームが表示される24fpsで制作することが基本で、1話30分のアニメにすると1,800秒に相当します。

この時間に基づいて原画を作成した場合、300カット以上の原画が必要になるため、すばやく原画を描く能力とともに緻密なスケジュール管理が必要です。

動画枚数は3,000枚~4,000枚以上

原画と原画の間をつなぐ中割りとなる動画枚数は、1話30分の作品で3,000枚~4,000枚以上もの膨大な数が必要です。

1秒間の動画に数十枚から数百枚もの動画枚数を描くことで、より自然な動きを実現します。

描くカットが複雑で細かいディティールが必要な場面であるほど、必要な枚数は膨大になるでしょう。

しかし、動画枚数は作品のクオリティや表現力に直結するため、キャラクターの表情や動き、背景のデザインなどが視聴者に伝わるように細部まで描きこまれます。

まとめ

原画はアニメ制作の完成度や魅力を引き出す要となる存在です。

原画のクオリティがアニメの完成度を左右させるといっても過言ではありませんが、高いクオリティの原画を描くためには専門的な知識や技術が必要です。

アニメ業界で原画担当としてのキャリアを築いていくためには、専門的な技術とともにクリエイターとしての視点を学んでいく必要があります。

代々木アニメーション学院では、原画の基礎となる人体描写スキルの知識や技術を一から学べます。

基礎から応用まで幅広いスキルを習得し、卒業後も現場で即戦力として活躍できるでしょう。

アニメーターとしての活動経験を持ったプロの講師が数多く在籍しており、制作現場のリアルな課題や解決方法を具体的に学ぶことが可能です。

アニメ制作現場で原画マンを目指している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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