業界ナビ:アニメ制作デスクを目指すには?仕事内容や必要なスキルを解説
アニメ制作デスクは、作品全体のスケジュールや予算を管理するポジションです。
制作デスクの手腕によって、各工程の作業がスムーズになり、決められた期日にアニメがリリースされるといっても過言ではありません。
しかし、アニメ制作デスクを目指すにはアニメ制作全工程の知識と、制作進行スタッフとしての実務経験が必要です。
この記事では、アニメ制作デスクとはどのようなポジションなのか、仕事内容や必要なスキル、向いている人やアニメ制作デスクになる方法を解説します。
アニメ制作デスクとは?
アニメ制作デスクは、アニメ制作の全体の状況を把握しながら、期日内に制作がスムーズに行われるように管理するポジションです。
各話のスケジュールや進捗を管理し、必要なスタッフを采配するなどの仕事を担当します。
また、制作進行の責任者に位置するアニメ制作デスクは、作品のスケジュール管理を行う制作進行スタッフを統括する場合もあります。
アニメのリリースに関わる重要なポジションのアニメ制作デスクですが、いきなりこのポジションで活躍できるわけではありません。
まずは制作進行のポジションに就き、作画の確認や回収、各ポジション間の伝達・運搬係などの仕事を担当します。
制作進行のポジションでスキルや経験を積むと、アニメ制作デスクへとキャリアアップを実現できます。
アニメ制作デスクは、アニメ制作における全工程のスケジュールの管理やスタッフの采配が主な仕事となるため、各ポジションの仕事内容を明確に理解しなければいけません。
そのためには、制作進行のポジションでの経験が役に立つというわけです。
また、アニメプロデューサーへのキャリアアップには、アニメ制作デスクとしての経験が必要不可欠です。
アニメ制作デスクとして10年前後の経験を経て、アニメ制作の全工程を統括するアニメプロデューサーへのキャリアアップを目指していけるでしょう。
アニメ制作デスクの仕事内容
ここでは、アニメ制作デスクの仕事内容について解説します。
作品の制作スケジュール調整
アニメ制作デスクの重要な仕事が、制作スケジュール調整です。作品の規模や内容、予算や納期から細かな制作スケジュールを考えていきます。
例えば、1クール(3ヵ月)のアニメ作品の場合、放送話数は全12~13話になります。その1話1話のスケジュール管理、素材管理は制作進行の仕事です。
制作デスクは、全話数のスケジュール管理が主な仕事であり、制作デスクの下に5名以上の制作進行スタッフがついて1話から最終話まで制作を管理しています。
アニメ作品は放送日やリリース日が決められているため、その期日内に作品を完成させなければいけません。
作画や美術、声優によるアフレコ収録、音響、編集にいたるまで、全話数の各工程をいつまでに完了させるかを決めていきます。
アニメ制作は絵を描くだけではなく、アフレコ収録や音響、編集などのさまざまな工程を通して完成します。
一つひとつの工程のスケジュールが緻密に考えられていない場合、後に続く制作工程に影響を与え、作品の完成が間に合わずリリースが遅れてしまう場合があります。
アニメ制作では、良い作品を作って視聴者に届ける意識だけでなく、決められた納期を守ることが大切です。そのためには、制作デスクによる緻密なスケジュール調整が欠かせません。
必要に応じたスタッフの采配
必要に応じたスタッフの采配もアニメ制作デスクの大切な仕事です。
制作前段階のスケジュール調整も大切な仕事となりますが、実際に制作が始まった場合でも各工程の進捗状況を常に把握し、必要に応じてスタッフを采配しなければいけません。
常に全体の状況を把握しながら、遅れている工程がないかを確認します。
ひとつの工程が遅れると続く工程にも影響があるため、進捗状況を確認しながら、遅れている場合は適宜指示を出したり、リスケジュールを行います。
各工程に遅れを生じさせないようなスタッフの采配が、アニメ制作デスクには欠かせない役割です。また、監督や演出家からの指示や依頼をアニメーターに伝達する役目も担います。
新たな指示や依頼がアニメーターに伝わっていなかった場合、修正などの余計な手間が増えてスケジュールにも影響してくるため、できる限り迅速かつ正確に伝達します。
制作予算の管理
アニメ制作における制作予算の管理は、アニメ制作デスクの重要な仕事のひとつです。全体の納期と予算を管理し、必要に応じてアニメーターやスタッフを手配します。
アニメ制作では作画や美術、音楽制作、声優のキャスティングなど、それぞれの工程で予算が必要であるため、さまざまなコストがかかります。
そのため、決められた制作予算の範囲内で配分を行い、クオリティを維持しながらコストを抑える方法を模索しなければいけません。
また、制作予算の管理はスケジュール調整とも密接な関係を持っています。
予算の分配が適切でなく工程を進めるのに必要な人材が不足している場合は、想定したスケジュール通りに工程を進めることができません。
アニメ制作デスクは予算を考えながら適切な分配を行い、納期に間に合うスケジュールを作成していくことが大切です。
アニメ制作デスクに必要なスキル
アニメ制作デスクは、作品の完成がスムーズに進むように務める重要なポジションですが、複数の制作進行をまとめる場合もあり、以下のようなスキルが求められます。
- 高いコミュニケーション能力
- 人材をまとめられるマネジメント力
- 納期通りに制作を完了させるスケジュール能力
ここでは、アニメ制作デスクに必要なスキルを紹介します。
高いコミュニケーション能力
アニメ制作デスクには、高いコミュニケーション能力が必要です。
アニメ制作は、基本的にさまざまな工程を専門的な分野に精通したスタッフが分業して作り上げていきます。
つまり、アニメ作品の完成をスムーズに進行させるための業務を担うアニメ制作デスクは、アニメ制作におけるすべての工程の把握が必要ということです。
制作スケジュールの調整には、監督や演出家、アニメーター、声優など、さまざまなスタッフとの打ち合わせなどが必要になるため、高いコミュニケーション能力が欠かせません。
制作全体の進捗状況を把握しながら、各スタッフとの円滑なコミュニケーションを図り、スケジュール通りにアニメ制作が進行するのをサポートしていきます。
仮にコミュニケーション能力が欠けている場合は、状況にあった適切な指示やスケジュール調整ができないことが想定されます。
場合によっては、スタッフとの意思疎通の不足が原因で納期に間に合わないようなトラブルに発展してしまう可能性も十分にあります。
そのため、アニメ制作デスクには、各スタッフと密な連携を取れる高いコミュニケーション能力が必要です。
人材をまとめられるマネジメント能力
アニメ制作デスクには、人材をまとめられるマネジメント能力が必要です。
アニメ制作デスクはアニメ制作の中枢を担っており、制作全体の進行や予算管理によってアニメーションの制作を支える役割があります。
制作の進行管理やスケジュールの作成・調整、予算管理、情報の伝達など、アニメ制作デスクの仕事は多岐にわたります。
業務の大半は人を動かすことにつながってくるため、アニメ制作デスクには、人材をまとめられるマネジメント能力が欠かせません。
さらにアニメ制作デスクは制作進行の責任者となるため、複数の制作進行スタッフを統括する役割も担っています。
そのため、高いコミュニケーション能力とともに人材をまとめられるマネジメント能力がアニメ制作デスクには必要なスキルです。
納期通りに制作を完了させるスケジュール能力
制作デスクには、アニメ制作全体の工程が納期通りに完了できるようにスケジュールを決定するスケジュール能力が必要です。
アニメ制作の進行を支える必要があるため、制作全体のスケジュールを管理しながら各工程の進捗状況を確認し、納期通りに制作が完了するように努めなければいけません。
アニメ制作には納期があり、間に合わないと放送やリリースが遅れてしまうため、制作デスクは各ポジションのスタッフが締め切りに間に合うようにスケジュール調整を行います。
そのため、制作デスクには完成を見据えたスケジュールを立てられる能力が必要です。
いつまでに納品するのか、各工程のスタッフは何人いるのか、納期通りに制作を進められる人材の数を確保できているのかなど、制作全体を常に把握しておかなければいけません。
アニメ制作デスクに向いている人
アニメ制作デスクに向いているのは、以下のような特徴がある方です。
- スケジュール管理が得意な人
- リーダーシップのある人
- 将来的に制作を統括するプロデューサーを目指したい人
あくまで一例ですが、アニメ制作デスクに向いている理由とともに解説します。
スケジュール管理が得意な人
アニメ制作デスクの主な仕事はスケジュール管理です。
まずは作品自体の納期を確認して、それぞれの工程で何日かかるのかを逆算しながらスケジュールを組み立てます。
単純に作品をいつまでに完成させればよいのかというだけではなく、原画はいつまでに完成させるのか、中割りはいつまでといった、細かいスケジューリングが必要です。
単にスケジュールを考えるのが得意というだけでなく、全体の動きを把握しながらスケジュールを立てられる高度なスキルが必要です。
また、監督や演出家などからの急な依頼や指示によって、スケジュールの変更を余儀なくされる場合も少なくありません。
そのため、急なスケジュールの変更に対応できるような余裕のある計画と、急な依頼や指示に対応できる柔軟性も必要です。
リーダーシップのある人
リーダーシップのある人は、制作デスクのポジションが向いているといえます。
特に制作進行スタッフをまとめる立場でもある制作デスクは、指示を出すタイミングが多いため、リーダーシップが欠かせません。
リーダーシップがなく的確な指示を出せない制作デスクの場合、指示を受ける側の制作スタッフは正確な業務の流れを認識することができません。
また、制作デスクはさまざまなポジションのスタッフと関わりを持つことが多いため、リーダーシップを発揮して組織全体を統率することで、計画性のあるアニメ制作が可能になります。
将来的に制作を統括するプロデューサーを目指したい人
将来的に制作を統率するプロデューサーを目指したい人は、制作デスクが向いています。
プロデューサーへのキャリアアップを目指すのであれば、まずは制作進行のポジションで経験を積む必要があります。
作画の進捗確認や回収・配達などの仕事で経験を積むと、制作進行のポジションを統括する制作デスクへとキャリアアップします。
そして、制作デスクのポジションで経験を積むと、いよいよプロデューサーへのキャリアアップです。
しかし、プロデューサーへのキャリアアップは簡単なものではなく、アニメ制作会社に就職後、少なくとも10年以上の下積みが必要といわれています。
アニメ制作デスクになるには?
アニメ制作デスクになるために特別な資格の取得は必要ありません。
しかし、アニメ制作における全工程の把握、スケジュール管理能力、スタッフの采配など幅広い知識を身につけ、制作進行のポジションで経験を積む必要があります。
ここでは、アニメ制作デスクになるために必要なポイントについて解説します。
専門の学校でアニメ制作の基礎を学ぶ
制作デスクを目指すのであれば、専門の学校でアニメ制作の基礎を学ぶとよいでしょう。
制作デスクは、作品全体を通したスケジュールや予算管理を行うため、各ポジションの役割や制作過程など、アニメ制作の基礎知識が必要です。
代々木アニメーション学院のアニメーション学部アニメ監督・演出科では、制作デスクとして必要なアニメ制作の全工程を学べます。
企画、シナリオ、作画、演出、撮影、編集等の知識はアニメ制作の全体像を把握するために必要な知識となるため、将来制作デスクのポジションに就いた際に役立つでしょう。
アニメ制作会社への就職を目指す
アニメ制作の基礎知識が身についたら、アニメ制作会社への就職を目指しましょう。
アニメ制作会社に直接応募することも可能ですが、アニメ制作に特化した学校を経由しての就職活動がとても有利です。
数多くの現役アニメーターを輩出してきた代々木アニメーション学院は、アニメ制作会社からの信用も厚いため有利に就職活動を進められます。
また、アニメーターとして活躍経験のあるプロ講師からより実践に近い形で知識を学べるため、企業が求める即戦力の人材として成長が可能です。
制作進行のポジションで実務経験を積む
制作デスクになるには、制作進行のポジションで経験を積む必要があります。
作画の進捗管理、回収や配達を主な仕事とする制作進行のポジションで実務経験を積むと、制作デスクとしてのキャリアアップの道が開けます。
ただし、制作進行としての実務経験だけでなく、制作全体を見渡せるような力が伴っていないと制作デスクとしてキャリアアップすることはできません。
アニメ制作会社への就職後、スムーズに制作デスクのポジションを獲得するためにも、アニメ制作に関わる基礎知識を事前に身につけておくことが大切です。
まとめ
制作デスクは、作品制作全体の状況を把握し、予算やスケジュールを考えるアニメ制作の中枢にあたるポジションです。
制作進行スタッフを統括する立場でもあり、スケジュール能力、マネジメント力、コミュニケーション力などのさまざまなスキルが求められます。
制作デスクを目指すためには、まずはアニメ制作全工程の知識が必要です。
専門校等で制作デスクに必要な知識を養い、制作進行のキャリアを積むと、制作デスクとしての道が開けます。
代々木アニメーション学院では、制作デスクを目指すために必要なアニメ制作全工程の基礎を学べるカリキュラムを用意しています。
さらに2年次からは、制作進行実務のカリキュラムもあり、より実践に近い形で制作デスクに必要な知識を学べます。
アニメ制作の基礎を学び、制作デスクとしてのポジションに就きたい方は、お気軽にお問い合わせください。