業界ナビ:動画マンになるには?具体的な仕事内容や必要なスキルを解説
動画マンになるには、基礎画力や描画スピードなどのスキルが必要不可欠です。
動画マンは原画から動くアニメーションを作り出すポジションで、一般的なアニメでも膨大な枚数が必要です。
その膨大な動画を描くのが、動画マンの役割です。知識や技術とともに、膨大な動画枚数を描きあげる体力も必要となるでしょう。
多くのアニメーターは動画マンで経験を積み、原画マンや作画監督など、次の役職へのキャリアアップを目指すのが一般的です。
この記事では、動画マンとはどのようなポジションなのか、仕事内容や必要なスキル、動画マンのキャリアや将来性、動画マンになる方法を解説します。
動画マンとは
動画マンは、原画マンが描いた原画やタイムシート(動きのタイミングの設計図)をもとに、中割りと呼ばれる原画と原画をつなぐ間の絵を描き、アニメーションとなる動画を作ります。
画面のなかで、キャラクターのなめらかな動きを表現するのが動画マンの役割です。
アニメーター業界に入ると、まずは動画マンからスタートします。
原画マンなど、アニメ制作業界のなかにはさまざまなポジションがありますが、それらを目指すには動画マンとして経験を積む必要があります。
30分のアニメを1話制作するのに、動画枚数は3,500~4,000枚必要だといわれており、その膨大な動画枚数の作成を複数の動画マンでこなしていかなければいけません。
しかし、膨大な動画枚数が完成しなければ、なめらかに動くアニメが完成しないため、動画マンが描く中割りはアニメ制作のなかでも陰ながら支える役割を担っています。
また、動画マンは原画マンが描いた原画をトレースする“クリーンアップ(クリンナップ)”という作業も行うため、デッサン力だけでなく綺麗な線を表現できる力も必要で、基礎画力がとても重要になるポジションです。
動画マンの仕事内容
ここでは、実際のアニメ制作の流れに沿って動画マンの仕事内容を紹介します。
原画や指示書の内容を把握する
原画マンが描いた原画やタイムシートなどの指示書、キャラクター設定、設定資料など、動画マンとしての作業を行ううえで必要な書類一式を受け取ります。
動画マンは、受け取った書類一式の内容に目を通して、内容を把握することから仕事が始まります。
また、原画やタイムシートは、カットごとにカット袋と呼ばれる封筒に分けられているため、他のカットと混同させないように注意が必要です。
カット袋に入っているタイムシートは、動画マンが中割りを描くために重要な資料です。
原画と原画をつなぐ中割りの枚数、キャラクターのセリフ、カメラワークなど、動画を描くために必要な情報が記入されています。
原画をトレース(清書)する
受け取った原画をトレース(清書)する、クリーンアップ(クリナップ)という作業を行います。
原画マンから届いた原画はラフな絵となっているため、トレースによってきれいな絵に仕上げていきます。
ここで仕上げる絵は、実際のアニメで使われていくことになるため、慎重かつ丁寧な線を描いていきましょう。
キャラクターの表情、髪型や服装にいたるまで、細かな線がズレてしまわないようになぞっていきます。
また、トレースする際は原画のイメージを崩さないことも大切です。例えば、カットごとに線の太さやバランスに統一性がない場合、作品としてのクオリティを下げる要因となります。
作品全体のクオリティを上げるためにも、トレースに慣れていない間は、先輩にチェックしてもらうようにしてください。
タイムシート通りに動画を作成する
トレースが完了したら、原画と原画をつないでアニメーションを作る“中割り”という作業を行います。タイムシートに記入されている必要な動画枚数の分だけ中割りを描きます。
トレースした原画を見ながら、キャラクターの表情や動きがスムーズに動くように中割りを描きましょう。この段階では、下書きという形で描くのがポイントです。
中割りの下書きを描いたら原画の上にレイヤーをのせて、前後の原画を透かして見えるようにして動きに違和感や問題がないかをチェックします。
問題があれば修正、問題がなければ中割りをきれいに仕上げましょう。
その後は、完成した動画を担当者へ渡してチェックを受けます。動きがなめらかではない、線のバランスがおかしいなどの問題があれば、担当者から戻されて描き直しになります。
修正が1か所だけであっても、関連する動きすべての修正が必要です。
また、中割りに必要な枚数は膨大なため、期日を守りながらスピーディに作業を進めていかなければいけません。
中割りに必要な枚数はアニメにより異なりますが、30分アニメ1話を完成させるだけでも複数のスタッフで3,500~4,000枚ほどの動画を描くことが一般的です。
動画マンに必要なスキル
動画マンは、アニメーターとしての登竜門となる最初のポジションとして、以下のようなスキルが求められます。
- 基礎画力
- 絵を早く描ける能力
- 納期を間に合わせる時間管理能力や責任感
ここでは、動画マンに必要なスキルを紹介します。
基礎画力
動画マンには基礎画力のスキルが求められます。
動画マンは原画マンから受け取った原画をクリンナップしたり、原画と原画をつなぐ中割りを描くのが主な仕事です。
基本的に絵を描くのが主な仕事となるため、動画マンには基礎画力が欠かせません。
アニメ制作業界においては、どのポジションに就いたとしても基礎画力が重要です。動画マンから原画マン、作画監督へキャリアアップを目指す場合も、基礎画力が必要不可欠です。
動画マンに限らず、アニメ制作業界で活躍したいのであれば、基礎画力の習得がアニメーターとしての第一歩となるでしょう。
代々木アニメーション学院のアニメーション学部アニメーター科では、アニメーターとして必須となる人体描写スキルを学べます。
現役アニメーターの指導のもとで絵を動かす技術を徹底的に学べるカリキュラムを用意しているため、卒業後は即戦力としても活躍できるでしょう。
絵を早く描ける能力
絵を早く描ける能力も動画マンには必須のスキルです。
動画マンは、原画マンが描いた原画をもとにアニメを動かす中割りを描いていきますが、中割りに必要な動画枚数は膨大です。
30分のアニメでも複数のスタッフで3,500~4,000枚もの動画枚数を必要とするため、ゆっくり丁寧に描くだけでは期日にも間に合いません。
もちろん一人の動画マンがすべての中割りを担当するわけではありませんが、それでも一人が担当する動画枚数はかなりの枚数があります。
そのため、動画マンには絵を早く描ける能力が必要です。
納期を間に合わせる時間管理能力や責任感
時間管理能力や責任感を持った人は動画マンに向いています。
アニメ制作現場では、動画マン・原画マン・作画監督・美術など、さまざまなスタッフがそれぞれの専門分野を分業してアニメを作り上げています。
アニメ制作工程では流れが決まっており、流れに沿ってアニメの制作が進んでいきます。
膨大な動画枚数を描く必要があるとしても、期日に間に合わないと次の工程のスタッフへ迷惑がかかる可能性も十分に考えられます。
そのため、動画マンには納期を間に合わせるような時間管理能力や他のスタッフに迷惑をかけないための責任感が必要です。
例えば、自分が中割りやトレースを1枚描くのにかかる時間を把握しておくことによって、期日通りの作業が可能になるだけでなく、ヘルプなどの急な依頼があった時でも柔軟な対応が可能になるでしょう。
動画マンのキャリアや将来性
アニメーターのファーストステップになるのが動画マンです。専門学校などで動画マンとしての必要な知識や技術を学び、アニメ制作会社に就職すると最初に任されます。
アニメ制作会社への就職後は動画マンとして経験を積み、原画マンや作画監督、演出家、監督へとキャリアアップできる可能性を秘めています。
もちろん、動画マンよりも上の立場になれば給与面も大幅に上がるでしょう。
動画マンになるには
動画マンになるために特別に資格を取得する必要はないものの、基礎画力や絵を描くスピード、アニメ制作に関わるさまざまな知識が必要です。
ここでは、動画マンになるために必要なポイントについて解説します。
専門学校で知識や画力をつけて就職する
アニメーターのファーストステップとなる動画マンを目指すのであれば、まずは専門学校で基礎から応用まで幅広い知識を学び、画力を身につけていきましょう。
画力は動画マンだけでなく、アニメーターのさまざまなポジションで必須のスキルとなるため、画力を身に付けた方がアニメーターの道を進む第一歩となるでしょう。
そして、知識や画力を身に付けたらアニメ制作会社への就職を目指します。
専門学校からの就職であれば、今まで多くのアニメーターを輩出した実績があるため、有利な就職活動が可能です。また、就職活動を有利に進めるためのポートフォリオの作成も重要になってくるでしょう。
代々木アニメーション学院は、アニメーターとしての活動経験を持ったプロ講師が作画、キャラクターデザイン、レイアウト、原画、アクションなどさまざまなカリキュラムを通して、即戦力となれるような学習を進めていきます。
また、就職の際に自分の作品をPRするために必要なポートフォリオの制作も指導するため、より有利な就職活動が可能です。
プロ講師による指導を受け、有利な就職活動を進めていきたい人は、お気軽にお問い合わせください。オープンキャンパスも開催しているため、専門校の雰囲気も気軽に体感できます。
まとめ
動画マンは、アニメの基礎となる原画と原画の間をつなぎ、動くアニメーションを作り上げていく役割を担うポジションです。
膨大な動画枚数を描きあげる必要があるため、画力とあわせて絵を早く描ける能力を求められます。
アニメ制作会社へ就職した際は、基本的に動画マンとしての役割を任されることが多く、いわばアニメ制作業界のファーストステップともいえるポジションです。
アニメ制作の中心的な仕事として、監督、演出、作画監督、キャラクターデザイナーという仕事がありますが、基本的にこの4つのポジションに携わっている人はほとんどが動画マンとしての経験を積んでいます。
動画マンとしての経験こそが、原画マンや作画監督といった上のポジションへのキャリアアップのカギとなるでしょう。
代々木アニメーション学院では、アニメ作品制作、デジタルアニメ作画、キャラクターデザイン、レイアウト実習、原画実習など、さまざまなカリキュラムを通して即戦力となれるアニメーターを目指せます。
さらに、現役アニメーターも講師として在籍しており、現場のリアルな課題や解決策の講義を受けられるため、より実践に近い形で最新技術を習得可能です。
アニメーターの第一歩として必要な知識や技術を身に付けたい方は、お気軽にお問い合わせください。