業界ナビ:アニメ監督になるには?必要なスキルや仕事内容を紹介
アニメ業界を目指す方の中には、将来はアニメ監督になりたいという方もいるでしょう。
アニメ監督はアニメーション制作における最終決定権を持つ総責任者であり、すべての行程に携わりながら指揮をとります。
アニメがヒットするかどうかは、監督の力量によって大きく変わるといっても過言ではありません。アニメ監督を目指す場合は、必要な知識やスキル、なりかたを知っておきましょう。
この記事では、アニメ監督になるために必要なスキルや仕事内容を紹介します。
アニメ監督とは
アニメ監督とは、アニメ制作において演出や制作スタッフと共有しながら作品に関わるすべての部署を指揮して統括する仕事です。
ここでは、アニメ監督の役割について詳しく紹介します。
アニメ監督は総責任者
アニメ監督はアニメーション制作における作品内容の総責任者です。
アニメ制作にはストーリー・動画・色彩・CG・音楽・アフレコなど、さまざまな要素が詰まっています。アニメ監督は、その一つひとつの決定に参加しながら判断を下します。
アニメ作品のヒットには監督の力量が関わりやすいため、それゆえに責任やプレッシャーは重たい仕事といえるでしょう。
しかし、日本アニメの質は世界的にみても非常に高く、海外でヒットすると知名度は世界に広がるなど夢のある職業です。
アニメ監督は最初から目指す人もいれば、アニメーターや演出などの仕事を通して目標になる人などさまざまです。
アニメプロデューサーとアニメ監督の違い
アニメプロデューサーはアニメ制作を全般的にプロデュースする仕事で、新しい作品の企画や立案だけでなく資金調達や制作のスケジュール、予算管理などを行います。
アニメの制作は企画を通してヒットさせることが重要であり、その役目を担うのがアニメプロデューサーです。
一方の監督は、アニメの映像をクオリティの高いものにするための責任者という違いがあります。
アニメ監督と演出の違い
アニメの演出とは、脚本を通して全体の流れを構成し、1話単位で監督の役割を担う仕事です。
アニメ監督は全話を通しての総責任者で、演出は1話単位の責任者となります。アニメによっては監督を置かずに演出のみのケースもあるなど、状況によってさまざまです。
映画の場合だと、演出を置かずに監督のみで制作する場合もあります。このように、制作するアニメの種類や規模によって監督・演出の有無は異なります。
アニメ監督の年収
アニメ監督は、ヒット作品の数や知名度に応じて大きな収入が期待できる職業です。
年収が1,000万円を超えている人も多く、中には年収が億を超えている人もいます。
アニメ監督の収入が高い理由は、業界内でキャリアを積んでいるクリエイターが担当することが多く、責任ある仕事でプレッシャーが大きいことなどが理由として挙げられます。
グッズなどの関連商品で権利収入を得られる条件であれば、さらに大きな収入も期待できるでしょう。
アニメ監督の仕事の流れ
ここでは、アニメ監督の仕事の流れを解説します。
企画の立ち上げ
アニメ監督の仕事は、企画を通すところから始まります。
テレビ局や映画会社から依頼を受けたアニメ制作会社のプロデューサーや監督が、企画を考えて提案を行うのが一般的です。
しかし、アニメ監督自身が各映画会社やテレビ局などに企画を持ち込むケースもあります。
スタッフの人選
企画が通ったらスタッフの手配を行います。
ただし、スタッフの手配は制作進行が行ったり、製作委員会によって人選が行われることも多いため、監督自身が手配をするケースは少ないです。
アニメ監督は、「人選に問題がないか」「他に起用したいスタッフがいないか」などを、会議や打ち合わせを行いながらすり合わせていきます。
絵コンテの制作依頼と打ち合わせ
絵コンテは監督がイメージする作品をスタッフに伝える設計図のことで、キャラクターの動き方や背景、音楽や効果音などを組み込みます。
絵コンテは監督が演出家や絵コンテ専門スタッフに作品のイメージを伝えて作成することが多いですが、監督自らが書くこともあります。
絵コンテが完成したら関係者と打ち合わせを行い、各部門が制作に取りかかります。
この段階で作品のイメージを的確に伝えられるかどうかによって出来上がりも異なるため、アニメ監督には的確な指示を出す力が必要です。
動画制作を依頼
原画が完成した後は、演出や監督がチェックをして、作画監督の修正の後、動画作業に入ります。
その後、デジタル彩色が終わった素材が撮影スタッフにまわります。そこで、1カットごとの映像ができあがります。
それを絵コンテ通りにつなげるカッティング(編集)作業を編集スタッフが行います。
アニメ監督は編集スタッフへ指示して、シーンごとの時間配分や全体的な流れの調整を行います。
不自然なところがないかのチェックも行い、問題がなければアフレコに進みます。
アフレコ
カッティングが終わったら、キャラクターに声を吹き込むアフレコです。
監督のイメージをもとに、音響監督が声優を指導してミキサーが録音します。監督は実際に立ち合いながら気づいた点があれば指摘し、自らが声の出し方を指導するケースも多いです。
アフレコが終わったら、声優の声以外に効果音や音楽を映像に重ねていくダビング作業を行い完成となります。
作品公開
作品が完成したら公開に向けた準備に移ります。
作品がヒットするために取材を受けたり、テレビに出演するなどの宣伝活動もアニメ監督の仕事です。そのため、監督にはアニメの魅力を伝えるためのプレゼン能力も欠かせません。
アニメ監督になるために必要なスキル
アニメ監督を目指すなら、アニメ制作の各行程を正しく知っておく必要があります。ここでは、アニメ監督になるために必要なスキルを紹介します。
アニメ制作に関する全般的な知識と技術
アニメ監督は、アニメ制作のすべてに関わることから「編集」・「演出」・「美術」・「映像」・「作画」など、制作に関係する全般的な知識と技術が必要です。
幅広い知識や技術がないと、各行程に携わっているスタッフに的確な指示が出せません。
また、よりよい作品を生み出すためには知識や技術のアップデートも必要です。アニメ業界は常に進化しており、ヒットアニメには最新の技術が用いられていることも多々あります。
アニメ監督には、アニメや制作について学び続ける姿勢や探求心も必要といえるでしょう。
センス
アニメ監督には、センスも求められます。
アニメ監督はシナリオに沿って演出スタッフが作った絵コンテのチェックを行いますが、シナリオを自分の頭の中で再現しなければなりません。
センスがある人は、頭の中で具体的なイメージができあがります。「センスは生まれ持ったもの」だと諦める方も多いですが、後天的にも育てられる能力です。
例えば、普段はあまりみないジャンルや海外のアニメを見たり、映画や舞台を鑑賞したりすることで磨くこともできます。
コミュニケーション力
アニメ監督に必要なスキルは、コミュニケーション能力です。コミュニケーションが重要な理由としては、以下の2つが挙げられます。
1つ目は、知識や演出能力があっても頭の中のイメージを各行程のスタッフに的確に伝えられないと思い通りの作品が作れないためです。自分の気持ちを相手に伝えるためにも、コミュニケーション能力が欠かせません。
2つ目は、アニメ監督はさまざまな人と関わりスタッフと良好な関係を築いて円滑に作業を進める必要があるためです。スタッフが効率的に働ける的確な指示や環境づくりに配慮するなど、リーダーシップ能力も問われます。
アニメは指示を出しただけではできあがらず、スタッフの作業によって作品が完成するものです。自分の頭の中をイメージしながら、なおかつ相手の気持ちを考えられる人はアニメ監督に向いています。
発想力
アニメをヒットさせるうえで欠かせないのが発想力です。
発想力とはこれまでに得た知識や経験などをもとに、新しいアイデアを生み出す力のことをいいます。作品を唯一無二のものにするためには、これまでのアニメにはないオリジナリティが必要です。
発想力は自身を取り巻く環境の一つひとつのできごとに興味を持ち、常に発想のヒントを求め続けることによって高めることができます。小さな積み重ねによって、作品をより良いものにできるアイデアが生まれることもあるでしょう。
また、発想を音楽や映像、声に活かすための演出力も大切です。このように、アニメ作品の質を左右するのは、アニメ監督の発想力や演出力が大きいといえます。
アニメ監督になる方法
アニメ監督になる方法は、アニメ業界に携わりながらステップアップする方法が一般的です。ここでは、アニメ監督になる方法を紹介します。
学歴や資格は不要
アニメ監督は学歴や資格は不要であるため、今からでも目指すことは可能です。
しかし、アニメ監督はアニメ制作に関するあらゆる知識や技術を必要とするため、独学で目指すことは難しいでしょう。
まずはアニメ専門の学校などで、実際のアニメ制作の工程を学びながら理解を深めることが大切です。
学校によってはアニメ監督の専用学科があるため、このような科に通うと監督として必要なスキルを学べます。
例えば、アニメ・エンタメの専門校代々木アニメーション学院には、アニメ監督・演出科があります。
制作の基礎やビジネスの視点などを学ぶことができるのはもちろん、アニメーター科やアニメ音響科など他の学科と協力して実際のアニメーション制作に取り組むことができるのは、代々木アニメーション学院の大きな特徴といえます。
アニメ業界で活躍する専門のプロ講師による指導が受けられ、スタッフに的確な指示を出すスキルや経験を積むこともできます。
アニメ制作会社に就職してステップアップ
アニメ制作の知識やスキルを習得したあとは、アニメ制作会社や映像制作会社に就職してアニメ監督にステップアップする方法が一般的です。
アニメーターからスタートして経験や実力が認められたら、アニメ監督に任命されることもあります。
また、制作進行としてアニメ制作の流れを把握し、経験を積んだあとに演出として経験を積むことでステップアップを目指せることもあるでしょう。
まずは専門学校で技術と知識を学び、卒業後に制作に携わりながらアニメ監督に必要なスキルを身につけていく方法が現実的といえます。
まとめ
この記事では、アニメ監督になる方法や必要なスキル、仕事内容を紹介しました。
アニメ監督はアニメーション制作における総責任者であり、すべての行程で携わって指示を出します。アニメ制作に関するスキルはもちろん、音響や映像などの知識も欠かせません。
アニメ監督を目指すなら、さまざまなスキルを身につける必要があります。
しかし、独学だとアニメ制作の全行程を学ぶことは難しく、時間を費やしても得られるものも少ないでしょう。
必要な知識やスキルを習得するなら、アニメの専門校で学ぶことをおすすめします。
代々木アニメーション学院のアニメーション学部アニメ監督・演出科なら、アニメ監督を見据えた学習を行うことが可能です。
絵コンテ技法やアニメ撮影技法などの技術をはじめ、「アニメがどのように世に出されるのか」「売れる作品はどんなものか」などのアニメビジネスも学べます。
また、制作進行実務や映像制作強化ゼミ、演出ゼミなどのカリキュラムもあり、アニメ監督を目指すために必要な表現や演出なども幅広く学習可能です。
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