業界ナビ:アニメの制作進行になるには?仕事内容や求められるスキルを紹介
アニメ制作は、アニメーターや演出家、監督などが一丸となって作成を行います。
それぞれのスケジュールを調整しながら、チームで円滑にアニメを作成していく役割を担うのが制作進行です。
アニメ業界で働きたい方の中には、「制作進行になりたい」「制作進行に興味がある」という方もいるでしょう。
この記事では、制作進行の仕事内容や求められるスキル、なり方などを詳しく紹介します。
アニメの制作進行とは
アニメの制作進行とは、アニメ制作の進行を調整する仕事のことです。
アニメの制作には作画だけでなく、予算やアニメーターのスケジュール管理など、さまざまな業務が必要となります。
これらの作業やチームを調整し、制作現場を円滑に回すのが制作進行の役割です。
担当業務は多岐にわたり、演出家や監督と打ち合わせを行ったり、原画のチェックや完成した素材をスタジオに運んだりもします。
作画を行う必要がないため、絵を描くことが得意ではないけどアニメ業界に携わりたいという方にもおすすめです。
「制作進行がいないとアニメは作れない」といわれるように、アニメの制作において重要な役割を担っています。
アニメの制作進行の仕事内容と流れ
ここでは、アニメの制作進行の仕事内容や流れを紹介します。
制作アニメの概要を把握
まずは依頼されたアニメの内容や放送スケジュール、納期の把握を行います。
納期を把握したら、その日にアニメーションの納品が間に合うようにシミュレーションを行います。
また、アニメの制作進行は予算の把握も重要です。与えられた制作費の中から、アニメーターに支払う報酬や制作に必要な経費を算出します。
作画の情報や資料を収集して整理
作画の情報や資料を収集して整理することも制作進行の役割です。
制作アニメの概要をもとに作画に必要な資料を集め、アニメーターやスタッフを手配する際に配布する資料を準備します。
アニメーターやスタッフはすぐに手配できるとは限らないため、大まかなスケジュールや予算が決まったタイミングで早めに動きださなければなりません。
アニメーターやスタッフを手配
アニメーターやスタッフの手配も制作進行の役割です。
アニメーターやスタッフを手配する場合、アニメーションの質が保たれるように人選する必要があります。
人選によってアニメの質が大きく変わるため、これまでの実績や信頼度などを総合的にみながら依頼しなければなりません。
手配ができたら日程を調整しながら打ち合わせを実施し、アニメーション制作を円滑に進められるように情報共有やスケジュール管理などを行います。
スケジュール管理
アニメ作成は多くの人が携わることからトラブルが起こりやすく、その際は制作進行がスケジュール管理を行う必要があります。
特にアニメーターやスタッフが多くなるほどスケジュール通りに進まないことも増え、納品物や納期に大きく影響するケースも少なくありません。
制作進行は変更になったスケジュールを立て直すために、日程や人員配置を調整する必要があります。
また、スタッフを追加する場合は予算との兼ね合いも出てくるため、限られた費用の中でいかにやりくりするかも重要です。
他にも、スケジュールに変更が出た場合の細かい会議や打ち合わせの設定、連絡なども制作進行が行います。
これらを制作進行が担うことで、制作に関わる人たちが集中して仕事に取り組める環境をつくり、品質の向上を図ります。
完成までの追い込み作業
アニメーターが描いた原画を回収したら、どのカットが上がったのかをチェック表につけて、その原画を演出のスタッフへ随時まわしていきます。
演出のOKが出た原画は、次は作画監督にまわします。作画監督がチェックをしてリテイクがある場合は、その原画を描いた原画マンに戻します。
原画に問題がなく作画監督の修正が終わったものは、動画マンにまわしていきます。
そして、動画マンが描いた動画を次は動画検査(動画チェッカー)のスタッフにまわします。検査OKの動画は色指定のスタッフにまわします。
色指定のスタッフが動画に彩色の指示を書きこんだら、彩色のスタッフにその動画をまわします。
このように、制作進行は各セクションのスタッフとスタッフの橋渡しを行う仕事です。
納期が迫ると各所でトラブルが発生することもあるため、早め早めに仕上がりをチェックして次のスタッフにまわしていくことが大切です。
アニメの納期が遅れるとスケジュール通りに放送できなくなり、最悪の場合は制作会社が違約金を支払わなくてはなりません。そうならないためにも、制作が滞らないようにスケジュール管理の徹底やトラブルへの迅速な対応が必要です。
納品
アニメが完成したらクライアントに納品して仕事は完了です。
原画の管理や他のスタッフと予定を調整しながら、次の作品の納品を目指して制作進行を行います。
なお、テレビシリーズのアニメの場合は複数の話数を並行して制作することになり、1本納品してもまだ次の話数の作業が続いていきます。
アニメの制作進行に求められるスキル
アニメの制作進行はさまざまな人と関わり、状況に応じてスケジュール管理や調整なども行うため、これらに対応できるスキルが求められます。
ここでは、アニメの制作進行に求められるスキルを紹介します。
コミュニケーションスキル
アニメの制作進行にはコミュニケーションスキルが欠かせません。
制作進行にはアニメーター・スタッフ・監督・クライアントなど、さまざまな人と関わりを持ったり、間に入る役割があります。
各所から入ってくる注文や意見などを集約しながら、それぞれの関係が悪化しないように調整しなければなりません。
そのためには、同じ現場で働いていない人たちを一つにまとめる意識も必要となり、アニメーターが作業しやすい環境を作ることも制作進行の役割です。
コミュニケーションを積極的に取ってアニメーターのモチベーションを高めることで、品質の向上にもつながります。
マネジメントスキル
アニメの制作進行にはマネジメントスキルが必要です。
制作進行はスケジュール管理が主要な仕事であるため、アニメ制作に携わる各所のスタッフをまとめ、納期に遅れないように調整を行うスキルを必要とします。
納期ギリギリに設定していると、トラブルが発生したときに納品が間に合いません。そのため、アクシデントも想定しながらスケジュールを組まなければなりません。
一方、納期に余裕を持つために人員を増やすと予算が足りなくなるため、広い視野を持ちながら計画を立てる必要があります。
対応力と判断力
アニメの制作進行には対応力と判断力が求められます。
アニメ制作にはトラブルがつきものであるため、必ずしも最初に立てたスケジュール通りに進むとは限りません。
トラブルが発生したときには迅速に対応し、的確に判断しながらアニメ制作が滞らないように調整を行う必要があります。
どれだけトラブルに備えていても、現場で何が起こるかを完全に予測することはできません。状況を判断して臨機応変に対応するためにも、対応力と判断力は制作進行に必要なスキルです。
また、当初の予定通りに進まないと判断されるときに、他の選択肢を用意してすぐに実行できる柔軟性も求められます。
アニメの制作進行に向いている人
アニメの制作進行に向いている人は、場の空気を読みながら自分で考えて行動できる人です。
制作進行は社内外・立場に関係なく多くの人と関わりを持つため、それぞれの人の立場で物事を考えながら、自分自身で考えて行動や判断を行う必要があります。
進捗状況によっては夜遅くまでの対応も必要になるため、体力や根気のある人にも向いているでしょう。
もちろん、上記に当てはまらない方でもアニメが好きで業界に携わりたいという気持ちがあれば、必要な知識とスキルを習得することで制作進行の適性を培うこともできます。
アニメの制作進行になる方法や条件
アニメの制作進行として働くためにはどんな方法があるのでしょうか。ここでは、アニメの制作進行になる方法や条件を紹介します。
アニメの制作進行を仕事にするための条件
アニメの制作進行になるために必要な学歴や資格はありません。
また、アニメーターのように技術を必要とする仕事ではないため、適性があれば画力や現場経験がなくてもなれます。
しかし、アニメ制作のほとんどの行程に関わることから、業界の知識や各部署の仕事内容、プロセスの理解などが必要です。
幅広い知識やスキルが必要になり、さらに責任が大きいポジションになるため、専門学校に通ってアニメ制作の流れを把握したり、管理・調整などのマネジメント実践を積むことも望ましいでしょう。
就職先としてはアニメの制作会社になります。
また、制作進行として経験を積んでいくことで制作デスク、作品統括を行うプロデューサーを目指すことも可能です。
専門学校に通ってスキルを身につける
アニメ制作進行を目指すなら、アニメを専門的に学べる専門学校に通ってスキルを身につけることをおすすめします。
アニメ制作に関する知識やスキルがないと、アニメ制作会社に入社したり、フリーランスとして働くことは難しいでしょう。
専門学校を卒業することで、アニメ制作に関する基本的な知識やスキルがあることを証明できます。
また、専門学校は制作会社との関わりが深く、即戦力を求めるために求人が集まりやすいため、卒業後に就職できる確率が高いです。
他にも、専門学校に通うことには以下のようなメリットがあります。
- 同じ業界を志す仲間ができる
- アニメーション制作の基礎が学べる
- アニメーション制作会社に入るための道筋を学校が作ってくれる
- プロの講師から就職や仕事内容に関する役立つ情報を入手できる
- カリキュラムをこなすことで卒業時にはスキルが身につく
カリキュラムによっては、他の学科と協力をしながらアニメ制作を行う場合もあります。
制作進行としてのポジションで参画することで、実際に働き始めたときのイメージもできるでしょう。
また、学校に通うとさまざまな人と関わりを持つため、制作進行に必要なコミュニケーションスキルを高めたり、実習のポジションによってはマネジメントスキルも高められます。
適性に自信がないという方も、専門学校に通うことで制作進行に必要な能力を身につけられるでしょう。
まとめ
この記事では、アニメの制作進行になる方法や仕事内容、求められるスキルを紹介しました。
アニメ制作進行になるために学歴や資格は必要ありません。
しかし、アニメ制作全般の知識に加えて、コミュニケーションやマネジメントスキル、状況が変わったときに適切な判断をするための対応力を必要とします。
これらの能力を身につけるためには、専門の学校に通うことがおすすめです。
「代々木アニメーション学院」は、アニメ制作進行に必要なスキルの習得もできる専門校です。
アニメーション学部アニメ監督・演出科では、カリキュラムに制作進行実務もあり、作品の制作スケジュール管理やスムーズに行うための各種手配・とりまとめを実践しながら学べます。
さらに、2年生になると集大成となる「卒業アニメ制作」に取り組み、アニメ関連学科と協力をしながら、実際のアニメ制作現場のようにアニメ―ション制作を行う経験ができます
相談会や奨学制度などの入学サポートも行っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。