業界ナビ:VTuberになるには?実際の仕事内容や目指す方法を解説

2016年にキズナアイさんが登場して以降、爆発的な人気を誇るVTuber業界。2025年現在、国内だけでも2万人を超えるVTuberが活動し、海外でも熱狂的なファンを持つ大きなエンターテインメント産業へと成長しています。

顔出しをせずにアバターを通じて配信できることから、「新しい自分になりたい」「表現者として活動したい」という方から注目を集めています。市場規模も2020年度の約144億円から2023年度には約800億円と急成長を遂げました。

本記事では、VTuberに関心がある人に、仕事の内容や求められるスキル、目指す方法を解説します。VTuberとしての活動に興味がある人は、参考にしてみてください。

VTuberとは

VTuberとは「Virtual YouTuber(バーチャルユーチューバー)」の略称で、2Dや3Dのデジタルアバターを使って動画配信やライブ配信を行う配信者のことです。顔出しをせずにキャラクターとして活動できるため、顔出しをせずにキャラクターとして活動できることが最大の特徴です。ただし、機材トラブルや発言内容によっては個人情報が流出するリスクもあるため、配信時は細心の注意が必要です。

YouTubeでの動画投稿が中心でしたが、Twitch、SHOWROOM、Mirrativなど、さまざまなプラットフォームでも活動が広がっています。YouTube以外のプラットフォームで配信する人は「Vライバー」と呼ばれることもあり、活動内容によって「バーチャルタレント」など呼び方も多様化しています。

VTuberの魅力は、アニメキャラクターが実在してリアルタイムでファンとコミュニケーションを取り、視聴者との距離が近いことです。リアルタイムでファンとコミュニケーションを取り、視聴者との距離が近いことも人気の理由となっています。

VTuberの仕事内容

VTuberの仕事は多岐にわたりますが、主な活動内容を紹介します。

ライブ配信・動画投稿

VTuberの基本的な活動は、各種プラットフォームでのライブ配信や動画投稿です。ゲーム実況、雑談配信、歌配信、ASMRなど、ジャンルは多様です。ライブ配信では視聴者のコメントにリアルタイムで反応し、スーパーチャット(投げ銭)でファンとの交流を深めます。動画投稿では、編集でクオリティを高めた「歌ってみた」動画やオリジナルコンテンツを制作します。

企業案件・コラボレーション

人気VTuberになると、企業から商品PRの依頼を受けることがあります。キズナアイさんの大手コンビニとのタイアップや、壱百満天原サロメさんの飲料CMなど、活躍の場は広がっています。

VTuber同士のコラボレーション

他のVTuberとのコラボ配信も盛んで、お互いのファン層を広げる重要な活動となっています。

オリジナルコンテンツ制作

オリジナル楽曲の制作・リリース、グッズ販売など、自身のIPを活用したコンテンツ制作も行います。自分のキャラクター設定や世界観を作り込み、独自の挨拶や口癖などでファンを楽しませることも重要な仕事です。

イベント・ライブ出演

3D技術を使ったライブコンサートやファンミーティング、テレビ番組やラジオへの出演など、リアルイベントへの出演も増えています。大手事務所では数千人規模のコンサートを開催し、バーチャルとリアルが融合した新しいエンターテインメントを提供しています。

VTuberに必要なスキル

VTuberとして活躍するためには、さまざまなスキルが求められます。

パフォーマンススキル

トーク力は最も重要なスキルです。長時間の配信でも視聴者を飽きさせない話術、アドリブ力、司会・MC力、バラエティ力が必要です。また、話題の選び方やワードチョイスなど、誰かを傷つけないためのバランス感覚も重要です。歌唱力や演技力があると活動の幅が広がり、キャラクターボイスを使い分ける技術も求められます。自分だけの個性を発揮することが、多くのVTuberの中で注目される鍵となります。

技術的スキル

配信ソフト(OBS Studioなど)の操作、動画編集、サムネイル作成など、基本的なPCスキルは必須です。モーションキャプチャーソフトの使い方や配信環境の構築についての知識も求められます。最低限の編集スキルがあれば、自分のイメージ通りのコンテンツを作ることができます。

ビジネススキル

企画力とマーケティング思考は人気獲得に欠かせません。視聴者のニーズやトレンドを察知し、斬新な企画を生み出す力が重要です。また、著作権などの法律知識も必要で、BGMやゲーム映像の使用には適切な許諾が求められます。企業やコラボ相手との折衝や動画制作やキャラクターデザインを外注する際などには、ビジネススキルや対応力・交渉力が必要です。

精神面の力

継続力と忍耐力は、VTuber活動において最も重要です。最初は視聴者が少なくても諦めずに配信を続ける精神力が必要です。批判的なコメントに対処するメンタルの強さも求められます。

VTuberになるには

VTuberになる方法は大きく分けて3つあります。

個人で始める

最も手軽な方法は、個人で活動を始めることです。スマホ対応の配信アプリなら、スマホ1台で手軽に配信を始められます。本格的に活動する場合は、PC(20万円程度)、Webカメラまたはスマートフォン、マイク、オーディオインターフェース、ヘッドフォンが必要です。ゲーム配信を行う場合は、キャプチャーボードやゲーム機本体も必要です。アバターは2Dモデルと3Dモデルの2タイプあり、クオリティにより価格は大きく異なります。高額なモデルだと100万円を超えるものもあるので、どのレベルで始めるか事前にしっかり検討しましょう。

個人活動は自由度が高い反面、すべて自己責任です。また、配信のノウハウがないまま始めることになるため、一人で手探りですべてを進めていく必要があります。

事務所に所属する

ホロライブ、にじさんじなどのオーディションを受ける方法です。合格すれば、アバター制作から配信サポートまで事務所がバックアップしてくれます。知名度や集客面で有利ですが、倍率は数千倍と非常に高く、活動に制約もあります。

専門校で学ぶ

VTuberに必要なスキルを体系的に学べます。プロの講師から演技指導や配信技術を学び、業界の最新情報も得られます。代々木アニメーション学院など、業界と連携した専門校では、在学中から実践的な経験を積むことができます。

配信活動の具体的な流れ

VTuberの活動には、大きく2つがあります。それが生配信と動画投稿です。どちらの活動においても前提となる準備がアバターと素材の準備です。

アバターはVTuberの個性や魅力を表現する重要な要素であり、魅力的なキャラクターデザインや表現力を持つことが視聴者の興味を引く鍵となります。

また、素材は自身の動画や配信の方向性を印象付ける大切な要素です。雰囲気や演出をサポートし、BGMや効果音、映像、画像などを適切に加えることでエンターテイメント性を高めることができます。アバターと配信素材を吟味し、自身の個性を活かした魅力的な配信・動画を実現しましょう。

生配信

①企画を考え・準備する

どういう企画で配信を行うかを考えましょう。特に生配信の場合、ファンとのコミュニケーションも取れるため、コミュニケーションを軸に企画を考えるのも良いでしょう。また、準備も配信前にしっかり行いましょう。例えばゲーム配信を行う場合は著作権周りは大丈夫なのか、また配信機材などの用意は間に合っているのか、など企画に応じて必要なものを取り揃えるようにしましょう。

②配信を行う

準備が完了したら、実際に配信を行いましょう。しかし、配信が始まったからといって油断は禁物です。配信のタイミングや視聴者とのコミュニケーションも重要な要素となります。配信のタイミングは、視聴者の活動パターンを考慮するとよいでしょう。一般的に、平日の夕方から夜にかけて、または週末の昼間に視聴者の活動が増えます。特に、学生や会社員の視聴者が多いチャンネルでは、仕事や学校が終わる時間帯や週末に配信すると視聴者数を増やせる可能性があります。

また、視聴者とのコミュニケーションも重要です。動画のコメント欄やSNSでのフィードバックをチェックし、視聴者の意見や要望を次回の配信に反映させることで、視聴者との結びつきを深めることができます。

③効果検証を行う

VTuberの仕事では、配信後のマーケティング分析や効果検証が欠かせません。分析により、配信の成果や効果を把握し、成功要素や改善点を見つけることができます。また、視聴者の属性や行動パターンを把握し、ターゲット層を明確化することができます。ブランド戦略の構築やスポンサーシップの効果測定にも役立ちます。

動画投稿

①動画の企画を考える

2025年現在人気なコンテンツとしては、歌ってみたジャンルでの動画やshort動画、自己紹介やトークジャンルが挙げられます。

バラエティ系の場合、構成や台本などを作成する必要がありますし、動画企画によってはイラストレーターやデザイナーに素材を発注する必要もあるので、コンセプトも含め事前の準備が大切です。

②動画を撮影する

企画が決まったら、次は動画の撮影です。撮影はあなたの企画を具現化する工程であり、ここでのパフォーマンスが視聴者を惹きつけるか否かを決めます。動画によって異なりますが、音声収録やモデルの動きを撮影して、企画に必要な素材を集めます。モデルの動きは、3DモーションやLive2Dの動きを活用する場合もあります。

③動画を編集する

映像と音声を組み合わせ、テンポや演出を調整します。BGMや効果音、テロップ、エフェクトを加え、世界観や雰囲気を強調します。ほか、歌ってみたの場合は歌ってみたの音源を編集する「MIX師」「音楽編集クリエイター」にお願いして、ボーカルとinst音源のMIX編集の依頼をします。もしくは、ご自身で実施する方もいます。

④動画を投稿する

最後に、編集を終えた動画の投稿を行って完了です。しかし、ただ単に動画を投稿するだけでは、VTuberの活動としては不十分です。投稿後のアナリティクスを確認し、反響を見ることが重要です。アナリティクスの情報は貴重な洞察を提供してくれます。視聴者数や視聴時間、高評価やコメントの数などのデータを分析することで、投稿の成功要素や改善点を明確に把握することができます。視聴者の属性や視聴パターンを把握することで、ターゲット層を絞り込み、配信内容やプロモーションの最適化に役立てることができます。

VTuberに必要な機材

VTuberになるには、適切な機材が必要です。これらの機材があって初めて、アバター制作や動画の編集、そしてリアルタイムの配信が可能になるためです。

ここでは、VTuberとしての活動に必要な基本的な機材を紹介します。

パソコン

パソコンはVTuberとしての活動に必須となる機材です。動画編集やアバターの制作など、さまざまな作業に使用します。

動画配信を試す程度ならばスマートフォンでも可能ですが、本格的にVTuberとして活動を始める場合は、ハイスペックなパソコンを用意することが望ましいです。

スマートフォン・カメラ

スマートフォンやカメラは、フェイストラッキング(顔認証)という技術でアバターの表情を操作するために重要なアイテムです。

人間の顔を認識し、その情報をアプリケーションと連携してアバターに反映します。最新のiPhoneなど高性能なスマートフォンのカメラでも十分な場合が多いですが、より精密なトラッキングを求める場合は、高スペックなWebカメラの使用も選択肢となります。

マイク

クリアな音声を視聴者に届けるためには、マイクが必要不可欠です。

必ずしも高スペックなマイクが必要というわけではありませんが、内蔵のマイクよりも、自分の声質に合った専用のマイクを使用することが推奨されます。マイクによって音質や特性が異なるため、自分に合ったものを選びましょう。

また、マイクの音声をパソコンに取り込むためには、オーディオインターフェースが必要です。こちらもマイクのタイプや用途によってさまざまな機種があるのでしっかりと調査しておきましょう。

モーションキャプチャーソフト

モーションキャプチャーソフトは、人間の動きをデジタルデータとして捉え、それをキャラクターに反映させるツールです。

VTuberとして活動するうえで、自分の動きや表情をアバターにリアルタイムで伝えるために用います。

2Dと3Dでは使用するソフトや機材が異なるため、事前に確認しておきましょう。

どのソフトを選ぶべきかは、自分が目指すVTuberとしてのスタイルや利用可能な予算、技術力などによって大きく変わります。また、これらのツールは一部の専門的な知識や技術を必要とするため、導入や運用には十分な準備と学習が必要となるでしょう。

VTuberを目指すなら代々木アニメーション学院がおすすめ

代々木アニメーション学院の声優・エンターテイナー学部には、2024年4月に新設されたVTuber科があります。VTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR株式会社がカリキュラムを監修し、業界最前線のノウハウを学ぶことができます。

2年間のカリキュラムでは、発声・演技・歌唱などの基礎から、動画編集、配信技術、オーディション対策まで網羅的に学びます。現役VTuberや業界スタッフによる特別講義もあり、実践的なスキルが身につきます。

VTuber科は全国4校舎で学べるため地方在住の方にも通いやすい環境です。業界との太いパイプを活かし、在学中から実践的な経験を積むことができます。

総合学部という新たな学び方

代々木アニメーション学院は2026年4月から「エンターテイメント総合学部」を開講します。これは、アニメ・エンタメ業界に興味はあるけれど、どんな職業に就くか決めきれていない人のための学部です。最初の1年間は業界について総合的に学び、自分の特性を把握したうえで、2年目から代アニの各学科で専門的に学ぶという流れです。Vtuberが気になっている方は、総合学部で学ぶという選択肢もあります。

新たな表現の世界で活躍する夢のある仕事

VTuberは、顔出しをせずに自分の好きなキャラクターとして活動できる、新しいエンターテインメントの形です。市場規模は急成長を続け、活動の場も配信だけでなく、音楽、イベント、メディア出演など多岐にわたっており、VTuberとして成功するには、エンターテイナーとしてのスキルだけでなく、技術的な知識やビジネス感覚も必要です。簡単な道ではありませんが、情熱と努力次第で大きなチャンスを掴むことができます。

「なりたい自分」になれるVTuberという職業。画面の向こうにはあなたの創る物語を待っているファンがいます。好きなことで人を楽しませ、それが自分の生きがいにもなる──そんな夢のある働き方に、あなたも挑戦してみませんか。

よくある質問

VTuberとは何をする仕事ですか?

2Dや3Dのアバターを使って動画配信・ライブ配信を行い、ゲーム実況、歌、雑談などのコンテンツを通じて視聴者を楽しませる職業です。

VTuberの主な収入源は何ですか?

YouTube等の広告収入、スーパーチャット(投げ銭)、メンバーシップ、企業案件、グッズ販売、イベント出演料などが主な収入源です。

VTuberに向いている人の特徴は?

高いコミュニケーション力とエンターテイナー性があり、継続力と向上心を持ち、技術的な学習にも前向きな人が向いています。

必要な機材や費用はどれくらいですか?

最低限スマホがあれば始められますが、本格的にはPC(20万円程度)、スマートフォンまたはWebカメラ、マイク、オーディオインターフェース、ヘッドフォンが必要です。初期費用は30〜50万円程度が目安です。

顔出しNGでも本当に活動できますか?

はい、VTuberは顔出しをしないのが主流です。大手事務所では個人情報の保護を最重要事項として、細心の注意を払って管理しています。

個人と事務所所属、どちらがおすすめですか?

自由度重視なら個人、サポートや集客力重視なら事務所所属がおすすめです。まずは個人で始めて経験を積むのも良い方法です。

VTuberになるのに年齢制限はありますか?

特に制限はありません。実際に85歳の「メタばあちゃん」など、幅広い年齢層のVTuberが活動しています。

専門校で学ぶメリットは?

体系的なカリキュラムで効率的にスキルを習得でき、業界の最新情報や実践的なノウハウを学べる点が大きなメリットです。

 

VTuberのアバターは自分で作れますか?

VRoidなどの無料ソフトで3Dアバターの作成が可能です(Live2Dは別のソフトが必要)。

歌が苦手でもVTuberになれますか?

もちろんです。ゲーム実況や雑談配信など、歌以外にも様々な活動スタイルがあり、自分の得意分野で勝負できます。

配信頻度はどれくらい必要ですか?

理想的には毎日配信が効果的ですが、継続可能なペースで無理なく続けることも大切です。

オーディションの倍率はどれくらいですか?

大手事務所は数百〜数千倍と非常に高倍率ですが、実力と個性次第でチャンスはあります。

VTuber活動で気をつけるべきことは?

個人情報の管理、著作権への配慮、ネットリテラシー、炎上リスクの回避に加え、約束を守る、連絡をきちんと取るなどの基本的なビジネススキルも配信者として重要です。

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