業界ナビ:アニメの作り方は?制作の流れや予算も含めて解説

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アニメ制作は、さまざまな専門的な工程を多くのスタッフが分業して進め、スタッフ全員の成果が集約されて作品が完成します。

アニメの作り方を知ったとしても、複雑で膨大な量の作業工程を一人で進めるのは困難であるため、チームで作るのが基本です。

この記事では、商業アニメ制作の流れ、アニメ作りに求められる能力、アニメ制作にかかる費用や時間について詳しく解説します。

アニメ制作工程


アニメは一人で作れるの?

アニメは一人で作れるの?

アニメ制作には多くのスタッフが携わり、専門的な作業を分担して行います。そして、各分野のスタッフが作り上げた制作物を集約させて作品として作りあげるのが基本です。

そのため、アニメ制作には膨大な時間とともに、各分野の専門的な知識や技術が必要です。

アニメを一人で制作する場合、通常の制作過程であれば分業する作業を一人で行わなければいけないため、難易度が高く現実的ではありません。

アニメを作る工程は大きく分けると以下の通りです。

  1. 企画・脚本・原案の作成
  2. キャラクターデザイン・イメージボードの作成
  3. 絵コンテ・作画・彩色の作成
  4. 撮影・編集
  5. アフレコ・ダビング

作画監督や演出家の打ち合わせでできる企画や脚本、原画マンや動画マンが描く原画や動画など、どの工程にも膨大な時間を要します。

アニメの基盤となる原画や動画は数千枚もの枚数を必要とし、原画マンや動画マンが必死に描き、最終的に清書された動画には色が付けられ、撮影を行い、編集するといった流れです。

また、アニメ制作は1話30分のアニメを作るのに、制作スタッフが100名在籍している会社でも2ヵ月以上の時間がかかります。

1話の制作費も2,000万円前後の金額がかかるため、個人のアニメーターが一人で自主制作を進めるのは現実的とはいえません。

高いクオリティを維持したアニメを制作するには、時間とお金、さらに専門的な技術を持つ複数のアニメーターの存在が必要です。

アニメができるまでの流れ

アニメができるまでの流れ

ここでは、アニメができるまでの流れを解説します。

ただし、これはあくまでも30分のアニメ番組を制作することを仮定した内容です。映画や長編アニメの場合は、作業工程が増えるため所要時間が異なります。

企画作り

アニメ制作は企画作りから始まります。

マンガや小説を原作としてそれをもとに作る企画のほか、原作のない完全オリジナルの企画もあります。

オリジナルの企画は、アニメ制作会社の監督やシナリオライターなどのクリエイターによって生み出されるものもあります。

企画ができあがったら、アニメ制作会社と放送するテレビ局のプロデューサーや、提供するスポンサーのプロデューサーと打ち合わせをするのが一般的です。

この段階では、アニメの企画を各プロデューサーに理解してもらうことが大切になります。

脚本作り

続いては、脚本作りの工程です。

脚本は企画時のプロットにストーリーの展開や文章を肉付けしたもので、いつ、誰が、どこで、何をしたのか、セリフなどが加わります。

一般的にテレビでシリーズ化されるアニメは、数名のシナリオライターが分担して各話の脚本を書き上げることが多いです。

各話で統一性がなくならないように、脚本家のリーダーであるシリーズ構成の人が方向性を定め、監督の構想やシナリオから脱線しないように全話数の脚本をチェックしていきます。

キャラクターデザインと絵コンテの作成

次は、絵コンテとキャラクターデザインの作成です。

絵コンテとは、映像の設計図です。シナリオのストーリーを映像でどう見せていくのか、登場人物のセリフや動き、位置など、各カットの画面構成を絵と文字で表して、全体の流れが分かる情報が記入されたものを指します。

4コマ漫画のようにカットごとのセリフやシチュエーションを記載してあり、監督や演出家が絵コンテを作るのが一般的です。

絵コンテ作成と同時進行で、デザイナーがキャラクター設定やメカデザイン、小物デザインなどを作品の中で描かれる世界観をもとに細かく作画していきます。

マンガからアニメ化される作品は原作のビジュアルを原案とし、アニメーション用にリファインしますが、オリジナルアニメは監督の持っているイメージ像をゼロから具体化します。

絵コンテから実際の画面になる絵を描く作画

絵コンテから実際の画面になる絵を描く作画の工程です。絵コンテの指示通りに、作画担当がアニメの主となる絵を描いていきます。

作画は、原画担当(原画マン)、動画担当(動画マン)という2つの部門に分かれており、各自役割が明確に分担されています。

まず、原画マンがレイアウト(画面構成)を描きます。次に、キャラクターの動きのポイントの絵(原画)を描いていきます。そして、その絵を作画監督がチェックしてキャラクターの統一をはかるための修正を行います。

その後、動画マンが原画と原画の間の動きを増やしていき、滑らかな動きにするための絵(動画)を描きます。描きあがった動画は、動きや線にミスがないか動画チェッカー(動画検査)のスタッフが確認し、次の彩色のスタッフに素材が渡されます。

描きあげられた動画に彩色

次は、完成した動画に彩色をする工程です。

この工程は仕上げとも呼ばれ、あらかじめ設定してある色彩モデル(色彩設計)を参考に指定されたカラーでデジタル彩色を行います。

髪の毛や衣装など、細かい部分の着色もモデルと同じように正確に行う重要な工程です。彩色スタッフが担当し、キャラクターの着色が完成したら、仕上げ検査のスタッフが塗り間違いがないかなどをチェックして次の工程へ移行します。

背景部分を描く

次は、背景部分を描く工程です。

作品内に登場する主要な場所の背景や建物などは、事前に美術監督が美術ボードという世界観の見本を作成しているため、背景を担当するスタッフはその美術ボードに従って、原画マンが描いた線画のレイアウトに色を塗っていきます。30分のテレビアニメ1話で描く背景は、250枚前後です。

アニメ映像の中には、一部のビルなどの建物を3DCGで作成して合成する場合もあります。

背景を描く美術スタッフは美術監督の指示に従いながら、作品イメージに適した美術センスで描くテクニックが求められます。

仕上げ素材と背景美術を一つにして映像素材を作る撮影

次は、美術スタッフが描いた背景と、仕上げスタッフが彩色した動画素材を組み合わせて撮影する工程です。撮影は、動きのタイミングを指示するタイムシートに沿って行われます。

キャラクターの動きに合わせたカメラワークなども細かく設定されているため、正確な作業が求められます。

撮影スタッフが撮影監督に従い、キャラクターと背景の合成やカメラの上下左右の動きなどのタイミングをパソコンの専用のアプリを使い組み合わせて、カットごとに映像化していきます。

撮影映像にCG・エフェクト効果を追加

次は、撮影された映像に特殊効果(CG・エフェクト)を追加する工程です。

監督や演出の指示に従い、雨や雪を降らせたり爆発の光や煙などのエフェクトを挿入したり、多くの種類のエフェクトが使用されます。

昔は撮影段階で手書きのセルを重ねていましたが、現在では専門の特殊効果をデジタル処理によって挿入しています。

特殊効果を追加するスタッフは、パソコン操作技術だけでなく、映像を構成するセンスが求められます。

各カットの映像をつなぐ編集

次は、撮影されて特殊効果も加わった映像を編集する工程です。

今まで撮影してきた各カットの映像をストーリーの流れにあわせてつなぎ合わせて、音響作業用に編集していきます。

テレビアニメの放送は、30分の番組でもオープニングとエンディングを除くと約21分間の作品となります。

編集によってつなぎ合わせた映像は監督や演出家たちによって再確認され、規定の時間(尺)より長い部分はカットして尺を調整します。

アフレコ

次は、レコーディングスタジオで声優がキャラクターボイスを収録する工程です。

本来は完成映像に合わせて声優がアフレコを行いますが、スケジュールが過密になる場合は、原画撮影で編集されたアテレコ用映像を使用する場合も多いです。

この段階で初めてキャラクターに声が吹き込まれ、動きのある映像に音声が加わります。

音響編集(ダビング)

次は、映像に加えられる音響の編集を行う工程です。

アニメーションの音には主に3つの種類があります。

キャラクターのセリフなどの声、足音や爆発音などの効果音、そして音楽(BGM)です。

なお、挿入される音楽(BGM)は、事前に監督やプロデューサーが作曲家に発注したオリジナル音楽です。

音響編集(ダビング)は、音響効果の専門スタッフや音響エンジニアがスタジオ内でデジタル編集を行うのが一般的です。

ビデオ編集

最後の工程は、V編と呼ばれるビデオ編集です。ここまでの工程で作成された映像に、テロップやクレジット等を入れて完成映像を作ります。

最終確認段階でもあり、編集スタッフが尺ズレや映像ミスなどがないか入念にチェックを行い、最終的に監督がOKを出して完成となります。

完成したデータは業務用の映像録画テープに収録され、テレビ局等に納品されて作業終了です。

アニメ作りに求められるスキル

アニメ作りに求められるスキル

アニメ作りは、制作に関わるスタッフがそれぞれ専門知識やスキルを活かして協力しながらひとつの作品を作り上げています。

そのため、単なる技術だけでなく、スタッフ間で連携するためのコミュニケーション能力が必要になります。

業務管理能力やコミュニケーション能力

アニメ作りは時間との勝負と言っても過言ではありません。

アニメは納品期日までに必ず完成させなくてはいけないため、業務の進行状況を常に確認しながら、スタッフ同士で頻繁にコミュニケーションを取り合う必要があります。

各ポジションの責任者は、高い業務管理能力とコミュニケーション能力が求められます。

業務管理能力やコミュニケーション能力が欠けていた場合、現場が円滑に回らず、作業に遅れやミスが発生してしまうでしょう。

もちろんチーム内のメンバーも常に確認作業を行い、報告・連絡・相談の徹底を図りながら制作にあたる必要があります。

アニメ制作にかかる費用と時間

アニメ制作にかかる費用と時間

ここでは、アニメ制作にかかる費用と時間について詳しく解説します。

30分のアニメに2ヶ月以上

アニメ制作は、1話30分のアニメを作るのに2ヶ月以上の時間がかかります。30分アニメでは、最初と最後の挿入歌を除けば、本編は21分前後です。

アニメ制作会社には、平均で150〜200名のスタッフが在籍しています。200名のスタッフが21分のアニメーションを作る場合でも1ヶ月の時間がかかるため、作業工程は膨大です。

また、30分アニメの制作期間は約1ヶ月ですが、映画などの長編になると制作期間は一般的に1〜2年で、それ以上かかることもあります。

普段から何気なく見ているTVアニメですが、制作の裏側では膨大な時間とスタッフの努力が詰まっているのです。

1話の制作費は約2,000万円

テレビアニメの制作費用は、1話あたり2,000万円前後かかります。1クール12話だとすると、最低でも2億4,000万円の制作費です。

この金額は深夜帯に放送されるテレビアニメの相場であり、ゴールデンタイムに放送されるアニメは、30分で3,000万円を超える場合もあります。

アニメ制作では、多くの技術者やスタッフ、声優や作曲家など、膨大な人件費が必要です。

費用を下げて人件費を減らすと技術者不足で納期に間に合わないだけでなく、クオリティの高い作品を作れません。

制作に関わるスタッフは約150人以上

アニメ制作会社では、1話の作品に関わる制作スタッフは150名以上おり、アニメの映画化などが決定した際は500名以上のスタッフが関わるといわれています。

スタッフそれぞれに作業が分担され、全員が常に時間を意識しながら、作品の完成に向けて全力を尽くしています。

アニメ制作は、プロのアニメーターや技術者が150名以上も関わりながらひとつの作品を生み出していきますが、一人ひとりの努力と苦労が集結し良い作品が作り上げられていくのです。

まとめ

アニメ制作は1話を完成させるだけでも多くのスタッフが携わり、各担当が専門的な分野の知識や技術を駆使しながら完成を目指しています。

テレビで何気なく見ているアニメの裏側には、200人近いスタッフと2,000万円以上の制作費がかかっており、作品を作るための情熱や信念は計り知れません。

そのため、自主制作アニメを一人で作り上げるのは現実的ではないといえるでしょう。

また、一人でアニメを作れたとしても、さまざまな人の力がなければ放送・上映なども行えず、アニメ制作の意味を失ってしまいます。

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代々木アニメーション学院には、アニメーターとして活躍経験のある講師が在籍しており、アニメーターとして必要な技術にあわせて業界の最新情報についても学べます。

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アニメの作り方を学び、アニメ業界での活躍を目指す方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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