業界ナビ:アニメ背景美術ってどんな仕事? 業界のイマを現役美術監督が紹介!

アニメの仕事といえばアニメーターを思い浮かべがちですが、キャラクターが生きる世界、すなわち『背景』を描く仕事があることをご存知ですか?

アニメの背景は正式には「背景美術」といいます。映画や演劇で役者が芝居をする舞台をつくる職業を『美術』というように、アニメーションではキャラクターが芝居をする舞台をつくる職業を『背景美術』といいます(諸説あります)。

本記事では、アニメの背景美術の仕事内容や必要なスキル、キャリアパスなど、職業の詳細を紹介します。景美術に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

背景美術の職種

アニメ背景美術の仕事は、大きく分けて『美術設定』『美術監督』『背景美術スタッフ』の3種類があります。それぞれどんな仕事か解説していきます。

美術設定

監督や演出が描くコンテや、アニメーターが描くレイアウトの資料として必要な設計図『美術設定』を制作する仕事です。監督の意図を汲み取り、シーンごとに線画で背景の世界観やデザインの方向性を決めます。

美術監督

シーン(時間帯や天候など)に合わせて美術設定を着彩する『美術ボード』の制作や、背景美術スタッフのリーダーとしてクオリティとスケジュールを管理します。

監督や演出からの要望をスタッフに伝え、シーンとしてまとまりのある背景になるよう監修し、作品全体の背景の統一感を維持するのが『背景美術の責任者』です。

背景美術スタッフ

美術監督の指示と美術設定・美術ボードをもとに、アニメ用の背景を量産します。単に色を塗るだけではなく、各カットごとにパースや物の造形を考え、世界観に沿った背景を制作する必要があります。

アニメ背景美術の現状と将来性

アニメ背景美術スタジオでは、固定給でスタッフを採用する場合が多く、『絵を仕事にする』というハードルにしては、比較的安定した職業といえます。

背景を描ける人材はキャラクターを描くアニメーターに比べ非常に少なく、常に人手不足のため、背景が描けるだけで仕事はあります。『絵で食べていきたい』という意思のある方にはおすすめです。

もちろん、背景のクオリティが高く、描くスピードが速い方が有利です。より稼ぎたい場合は、本人の体力と向上心次第でさらに上を目指せます。

働き方・キャリアパス

スタジオに入った後は研修を受け、多くの背景制作作業を経験し、知識と技術が認められれば、美術監督になることも可能です。また、線画での表現やデザインを希望する場合は、美術設定になることも可能です。

数年アニメ背景美術スタジオで経験を積んだ後、フリーランスになる人も多く、リモート作業に支障がないため、地方移住も可能です。

給与・待遇

業界内の待遇はここ数年で大きく改善されており、初任給は月20万円前後の会社が多くなっています。土日休みの会社もあり、長時間労働を避けられるよう環境も整えられつつあります。

背景美術になるには

アニメ背景美術になるために、専門的な教育を受けることは大きなアドバンテージになります。ではどういった場所で背景美術の勉強ができるのでしょうか。

専門校

アニメ専門校での学習は、最も実践的な選択肢です。業界標準のソフトウェアを使った実習、現役プロによる指導、インターンシップの機会など、即戦力となるスキルを効率的に身につけることができます.

体系的なカリキュラムで基礎から応用まで段階的に学習でき、就職活動のサポートも充実しています。講師が学生のスキルを正確に判断し、業界に入るためのアドバイスを受けることができます。また、複数の講師による授業を通して幅広い技術を習得し、ポートフォリオに反映させることも可能です。

同じ目標を持つ仲間との出会いも、将来の大きな財産となるでしょう。

美術大学

美術大学で学ぶことで、より幅広い芸術的素養を身につけられます。映像学科、デザイン学科、メディアアート学科などで、映像表現の理論と実践を学べます。

4年間という時間をかけてじっくり自分の表現を追求できることが魅力ですが、一方で一般教養の授業も受ける必要があるため、美術だけを学ぶわけではありません。

自分がどういった学び方をしたいかしっかり考える必要があります。

独学

独学でアニメ背景美術を目指すのは不可能ではありませんが、とても大変です。独学の場合、次のような課題があります。

  • 自分のスキルを正確に把握できず、就職できるレベルか判断しにくい
  • ポートフォリオに必要なデッサンやオリジナル背景制作の学習範囲が広く、一人で全て習得するのは難しい
  • 「上達の仕方」がわからないと挫折しやすい

など、さまざまな壁があります。背景制作には基礎的な画力やPhotoshopでの描画経験に加え、自然、建築、色彩や光など、世界を描くための幅広い知識も必要です。

さらにアニメーション業界独特のルールもあるので、単に背景を描けるだけでは業界に入ってから苦労する可能性があります。

学びを経てアニメ背景美術専門のスタジオやアニメ制作スタジオの背景美術部門に採用されれば、背景美術スタッフになることができ、作品に参加すればエンドロールに名前が載ります。

ここでは、採用に必要なスキルやポートフォリオの作り方を紹介します。

背景美術に必要なスキル

背景を描く仕事に就きたいなら、背景画の制作経験が必要です。デッサンで基本的な明暗のコントロールができ、構図や色がオリジナルの背景を描けることをアピールできれば高評価につながります。。

また、アニメ背景美術の仕事では主にAdobeのPhotoshopを使用します。スタジオでの仕事はPhotoshopが使用できることが大前提のため、操作に慣れていることは大きなポイントです。

ポートフォリオの作り方

スタジオに応募するには履歴書と「ポートフォリオ」が必要です。ポートフォリオとは絵の技術を評価してもらうために作成する「作品集」のことです。

ポートフォリオには、

  • デッサン
  • 構図や色がオリジナルの背景
  • 美術設定
  • 作品模写

これらを含めて、総合的な画力をアピールしましょう。

背景美術が向いている人

アニメの背景美術に向いているのは、どういう資質を持っている人でしょうか?

絵を描くのが好きな人

アニメ背景美術の業界に入ると毎日のように絵を描きます。絵を描くのが好きな人にとっては、まるで天国のように感じるかもしれません。

約8時間、毎日絵を描き続けられるのは、本当に絵が好きな人だけです。『好き』であることも、立派な才能と言えます。

好奇心旺盛

いろいろなことに興味を持ち、知ろうとする気持ちが知識を広げます。

普段何気なく見ているものでも、どんな構造をしているのか、季節によって同じ風景の見え方はどう変わるのか、重いものと軽いものはどういう違いがあるのか。観察することでわかることがたくさんあります。

絵を描くには技術1割・知識9割という話もあります。知識がなければ描くことはできません。日々探求する好奇心を大切にしてください。

早く絵がうまくなりたい人

アニメの現場は非常にスピード感のある環境です。最初は思うように描けなくても、美術監督や上手な先輩たちの絵を見ながら月に何十枚、何百枚と描き続けることで、1年も経てば大きく上達します。

とにかく誰よりも早く絵がうまくなりたいという人には、アニメ背景美術は非常におすすめです。

背景美術を目指すなら代々木アニメーション学院がおすすめ

アニメ背景美術の業界を目指せるアニメーションの学科は全国に多数ありますが、その多くはキャラクターの作画や背景などのアニメーション全体を学び、その中から個別に背景を学ぶ必要がある学科です。

「アニメ背景美術」に特化し、それだけを専門的に学ぶことができる学科は、代アニのアニメ背景美術科のみです。

プロが教えるカリキュラム

アニメ背景美術科では現役美術監督の指導のもとで現代のアニメ業界で必要とされる技術を学ぶことができ、本気で一流のクリエイターを目指すことができます。

背景美術制作のスタンダードソフトであるPhotoshopの使い方から、デッサンや色と光など背景の基礎的な知識・美術設定などさまざまな授業があります

。高校卒業後に入学する人はもちろん、美美術大学卒業後や、社会人経験を積んだのちに入学している在学生もおり、さまざまな年齢の方が学んでいます。

もちろん業界は実力主義の世界のため、業界未経験でも、18歳~30歳前後であれば年齢に関係なく業界に入ることができます。

実績ある就職サポート

アニメ背景美術科の主な就職先には、株式会社美峰、株式会社草薙、株式会社Bambooなど業界を牽引する実力派スタジオがあります。

『進撃の巨人』『Dr.STONE』の美術監督・吉原俊一郎さんや、『SPY×FAMILY』の美術設定・塩澤良憲さんなどを輩出しており、就職のためのポートフォリオ添削など、夢に向かって安心して学べる各種支援もありますので、まずはお気軽にお問い合わせください!

「卒業制作」では、アニメーション学部として一本のアニメ作品を作り上げます。

この経験を通じて、発注書の理解やチーム間コミュニケーション、スケジュール管理など、現場で必要なスキルを実践的に身につけることができます。

総合学部という新たな学び方

代々木アニメーション学院は2026年4月から「アニメ・クリエイター総合学部」を開講します。

これは、アニメ・エンタメ業界に興味はあるものの、どの職業に就くか決めきれていない人のための学部です。

最初の1年間は業界について総合的に学び、自分の特性を把握したうえで、2年目から代アニの各学科で専門的に学ぶという流れです。背景美術が気になっている方は、総合学部で学ぶという選択肢もあります。

アニメの世界観を支える重要な仕事

アニメ背景美術はアニメの画面の中で最も面積が大きく、世界観を伝えるとても重要な部門です。

自分の描いた絵がアニメとなり、多くの人に観られ、スタッフとしてエンドロールに名前が載るのは、アニメに携わる仕事ならではのやりがいではないでしょうか。

絵の仕事というのは世の中にたくさんありますが、ここまで生涯を掛けてずっと絵と向き合い続けられる仕事はあまりないように思います。

キャラクターほど流行りの移り変わりが激しくないので、続けることで画力も積み上げられ自分の財産となっていきます。アニメ背景美術に興味を持ったら、ぜひアニメ背景美術の世界を体験してみましょう。

記事の監修

大野実咲(代々木アニメーション学院アニメーション学部アニメ背景美術科講師)

独学で背景を学び、Y.A.P(有)石垣プロダクションにて背景美術のキャリアをスタート。参加作品は『劇場版名探偵コナン』『銀魂』『富豪刑事』など多数。フリーランスでゲーム背景の経験を積んだのち、某大手ゲーム会社のアニメ制作部門にて美術設定や美術ボード、背景の監修業務を行う。
代アニではアニメ背景美術科講師として将来の背景美術業界を担う人材の育成にあたる傍らフリーの美術監督としても活動している。
代々木アニメーション学院なら
プロ講師のもとで学べる
アニメ背景美術科 精巧な風景描写でアニメの多様な世界を彩る!

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