業界ナビ:原画マンになるには?アニメ作画の要となる職人への道を徹底解説

アニメーションが動き出す瞬間、そこには原画マンという職人の技が息づいています。キャラクターの躍動感あふれる動きや、感情豊かな表情の変化を生み出す原画マンは、アニメ制作において欠かせない存在です。

動画マンから始まり、作画監督や監督へと続くアニメーターのキャリアパスにおいて、原画マンは重要な通過点であり、同時に多くのアニメーターが目指す目標でもあります。高い画力と表現力が求められるこの職種は、アニメ作品のクオリティを左右する、まさに作画の要といえるでしょう。

本記事では、原画マンを目指す方に向けて、仕事内容から必要なスキル、なるための具体的な方法まで詳しく解説します。アニメ業界でクリエイターとして活躍したい方は、ぜひ参考にしてください。

原画マンとは

原画マンは、アニメーション制作における作画工程の中心的な役割を担う専門職です。アニメーターという大きな枠組みの中で、原画マンは動画マンと並んで作画部門を構成する重要な職種として位置づけられています。

アニメーションの動きを作り出すためには、原画と動画という二つの要素が不可欠です。原画マンが描くのは、動きの起点と終点、そして感情やアクションが大きく変化するキーポイントとなる絵です。たとえば、キャラクターが振り返るシーンであれば、正面を向いた状態と振り返った後の状態という、動きの骨格となる重要な瞬間を描きます。この原画を基に、動画マンが間の動きを補完していくことで、なめらかなアニメーションが完成するのです。

原画マンの仕事は、単に絵を描くだけではありません。監督や演出家が作成した絵コンテを解釈し、それを具体的な映像として成立させる翻訳者としての役割も果たします。絵コンテに描かれた大まかな指示を、実際のアニメーションとして動かすための詳細な設計図に変換する作業は、高度な技術と経験を要する創造的な仕事です。

制作工程における原画マンの立ち位置も重要です。原画マンが作成した原画とレイアウト、タイムシートは、後工程である動画、仕上げ、背景、撮影といった各部門への指示書となります。つまり、原画マンの仕事の精度が、作品全体のクオリティとスケジュールを大きく左右することになるのです。このような責任の重さと同時に、作品の根幹を支える重要な仕事であることが、原画マンという職業の魅力でもあります。

原画マンの仕事内容

原画マンの仕事は多岐にわたり、それぞれの工程で専門的な技術と判断力が求められます。ここでは、原画マンが日々行っている具体的な業務について詳しく見ていきましょう。

打ち合わせと資料確認

すべての仕事は、担当するカットの資料を受け取ることから始まります。資料には絵コンテ、キャラクター設定、美術設定などが含まれており、これらを基に作業を進めていきます。

特に重要なのが、監督や演出家との作画打ち合わせです。この打ち合わせでは、絵コンテだけでは伝わらない細かなニュアンスや演出意図を直接確認します。キャラクターの感情の機微や動きの質感など、監督の頭の中にあるイメージを正確に共有することで、後の手戻りを防ぎ、作品のクオリティを高めることができます。

打ち合わせでは、単に指示を聞くだけでなく、原画マン自身のアイデアや提案も求められることがあります。豊富な経験を持つ原画マンであれば、より効果的な演出方法を提案することで、作品をさらに良いものにすることができるのです。

レイアウト作成

レイアウトは、そのカットにおける画面構成の設計図です。背景のどの部分が映るのか、キャラクターをどこに配置するのか、カメラアングルはどうするのかといった、画面全体の構成を決定します。

この作業では、キャラクターだけでなく背景のパースも正確に描く必要があります。空間の奥行きや立体感を表現し、キャラクターと背景が違和感なく共存する画面を作り上げることで、視聴者を作品世界に引き込む重要な役割を果たします。作成されたレイアウトは、背景美術スタッフへの指示書としても機能するため、正確性と分かりやすさが求められます。

レイアウト作成は、原画マンの芸術的センスが最も発揮される工程のひとつです。同じシーンでも、カメラアングルや構図によって印象は大きく変わります。視聴者の視線をどのように誘導し、どのような感情を喚起するかを考えながら、最適な画面構成を追求していくのです。

原画とタイムシートの作成

レイアウトが承認されると、いよいよ原画の作画に入ります。動きのキーポイントとなる絵を、動画用紙に清書していく作業です。走る、跳ぶ、振り返るといった動作の始点と終点、そして動きのアクセントとなる絵を作成します。

同時に作成するタイムシートは、動きのタイミングを指示する重要な書類です。アニメは1秒間に24コマで構成されていますが、どのコマにどの絵を入れるのか、セリフのタイミングはどうするのかといった情報を詳細に記入します。このタイムシートの指示に従って動画マンが中割りを描くため、動きのリズムやテンポを決定づける重要な作業となります。

原画作成においては、キャラクターの感情表現が特に重要です。微妙な表情の変化や、仕草に込められた心理状態を的確に表現することで、視聴者の共感を呼び起こすことができます。このような繊細な表現力こそが、優れた原画マンの証といえるでしょう。

原画マンに必要なスキル

原画マンとして活躍するためには、さまざまなスキルが求められます。技術的な能力から精神的な資質まで、プロフェッショナルとして必要な要素を詳しく解説します。

基礎画力と表現力

原画マンにとって最も基本となるのが、確かな画力です。人体の骨格や筋肉の構造を理解し、あらゆる角度からキャラクターを立体的に描ける能力は必須です。この基礎画力があってこそ、キャラクターに自然な重みや存在感を与えることができます。

さらに重要なのが、キャラクターの感情を絵で表現する演技力です。喜怒哀楽の表情はもちろん、微妙な心理状態を仕草や動きで表現する繊細な表現力が求められます。監督から「寂しそうに歩く」という指示を受けたとき、肩の落とし方や歩く速度、目線の動きなどを通してキャラクターの内面を表現できる力こそが、原画マンの真価を発揮する場面です。

画力の向上には、日々の練習が欠かせません。クロッキーやデッサンを継続的に行い、観察力を磨くことが重要です。また、映画や舞台を観て、俳優の演技を研究することも、表現力を高める上で有効な方法です。

動きの理解とアニメーション技術

優れた画力があっても、それだけでは原画マンは務まりません。物理法則に基づいた自然な動きから、アニメ特有の誇張表現まで、幅広い動きの原理を理解している必要があります。

重力や慣性、反動といった物理的な要素を考慮しながら、説得力のある動きを作り出す能力は、長年の経験と観察によって培われます。日常的な動作から激しいアクションシーンまで、あらゆる動きを分析し、それを絵として再現できる技術が求められるのです。

アニメーション独特の技法についても習得が必要です。たとえば、「つめ」と「タメ」といった緩急の付け方や、残像を使った表現など、アニメならではの演出技法を理解し、効果的に使いこなすことが求められます。

プロフェッショナルとしての実務能力

アニメ制作は厳しい納期との戦いです。そのため、質を保ちながら速く描く能力が不可欠となります。1カット数時間で仕上げる効率性と、修正が少ない正確性を両立させることが、プロの原画マンには求められます。

また、近年はデジタル作画が主流となっており、CLIP STUDIO PAINTなどの作画ソフトを使いこなす能力も必須スキルとなっています。デジタルツールを活用することで、修正作業の効率化や表現の幅を広げることができ、これらのスキルは現代の原画マンにとって欠かせない要素となっています。

さらに、チーム作業であるアニメ制作では、コミュニケーション能力も重要です。監督や演出家の意図を正確に理解し、自分の描いた原画やタイムシートを通して動画マンに的確な指示を伝える力は、作品のクオリティを左右する重要な要素です。締切を守る責任感や、長時間の作業に耐える体力と精神力も、プロとして活動していく上で必要不可欠な資質といえるでしょう。

原画マンになるには

原画マンへの道のりは決して簡単ではありませんが、適切な準備と戦略があれば、夢を実現することは可能です。ここでは、原画マンになるための具体的な方法について解説します。

標準的なキャリアパス

原画マンへの道は、ほぼ例外なく動画マンとしてキャリアをスタートすることから始まります。動画マンは原画と原画の間を繋ぐ中割りを描く仕事で、この期間にプロとして求められる綺麗な線を引く技術や、キャラクターを正確に模写する能力を身につけます。

動画マンから原画マンへの昇格までの期間は、入社前の準備によって大きく変わります。専門校で体系的な訓練を受けた人は、基礎がしっかりしているため、入社後1年から3年ほどで原画試験を受けるチャンスを得ることが多いです。一方、独学で業界に入った場合は、プロレベルの技術を現場で一から学ぶことになるため、5年から10年もの歳月を要することもあります。

この下積み期間をいかに短縮できるかが、アニメーターとして長く活躍するための重要なポイントとなります。早く原画マンになれれば、それだけ早く安定した収入を得られるようになり、さらなるキャリアアップへの道も開けてくるのです。動画マン時代は経済的に厳しい時期でもあるため、この期間を短くすることは、精神的・経済的な負担を軽減する意味でも重要です。

専門校で学ぶメリット

アニメーターになるための最も実践的で効率的な方法が、専門校での学習です。カリキュラムはアニメ制作に特化しており、デッサンやパースといった基礎から、デジタル作画ソフトの操作、実践的な作画技術まで、業界で即戦力となるスキルを体系的に学ぶことができます。

プロの現場で活躍する講師から直接指導を受けられることも大きな魅力です。現場で今まさに使われている技術やノウハウを学べるだけでなく、業界の最新トレンドや求められる人材像についても知ることができます。また、就職活動に不可欠なポートフォリオ制作のサポートや、業界との強固なコネクションを活かした就職支援も充実しており、夢への最短ルートとなります。

専門校では、同じ夢を持つ仲間と切磋琢磨できる環境も魅力のひとつです。お互いの作品を見せ合い、刺激を受けることで、技術の向上だけでなく、モチベーションの維持にも繋がります。また、卒業後も業界で活躍する同期との繋がりは、貴重な財産となるでしょう。

アニメ制作会社への就職活動

アニメーターの就職活動において最も重要なのが、ポートフォリオの作成です。自身の画力やスキルを証明する作品集は、採用担当者が最も重視する要素です。

ポートフォリオには、色でごまかしの効かない線画を中心に構成することが重要です。鉛筆やペンで描かれたデッサン、クロッキー、キャラクターの線画などで、生命感のある魅力的な線を引けることをアピールしましょう。また、男女や老若男女の描き分け、喜怒哀楽の表情、アクションポーズや日常的な仕草など、さまざまなタイプの作品を盛り込むことで、対応力の幅広さを示すことができます。

応募する企業の研究も欠かせません。その会社の作風や求める人材像に合わせて内容を調整し、企業の代表作のキャラクターを模写した作品を入れることで、熱意と適応力をアピールすることが効果的です。ポートフォリオは40から50ページ程度にまとめ、最初の数ページに最も自信のある作品を配置するなど、見せ方にも工夫が必要です。

原画マンを目指すなら代々木アニメーション学院がおすすめ

代々木アニメーション学院のアニメーター科は、原画マンを目指す方にとって理想的な学習環境を提供しています。47年以上の歴史を持つ代アニは、日本のアニメ業界に数多くのプロフェッショナルを輩出してきた実績があります。

カリキュラムは、初心者でも無理なく学べるよう基礎から段階的に構成されています。1年次前期では、デジタルアニメ作画基礎や人体描画、クロッキー、透視図法など、原画マンに必要な基礎技術を徹底的に身につけます。後期からはアニメ原画基礎やキャラクターデザインなど、より実践的な内容に進み、2年次にはアクション原画実習や空間原画実習といった高度な技術を学びます。

就職サポートの充実度も特筆すべき点です。京都アニメーション、A-1 Pictures、MAPPA、CloverWorksといった大手制作会社への豊富な就職実績があり、年間約30社の企業を招いての説明会やポートフォリオ添削会なども実施されています。業界との強固なネットワークは、卒業生の就職活動において絶大な力を発揮し、多くの学生を夢の実現へと導いています。

卒業生の活躍も目覚ましく、『カウボーイビバップ』『僕のヒーローアカデミア』の中村豊氏、『進撃の巨人』『SPY×FAMILY』のキャラクターデザインを手掛けた浅野恭司氏、『君の名は。』『すずめの戸締まり』の田中将賀氏など、業界を代表するクリエイターを輩出しています。彼らの成功は、代アニの教育の質の高さを証明しています。

さらに、実際の制作現場で使用されている機材やソフトを使った授業により、卒業後すぐに現場で活躍できる即戦力を育成しています。デジタル作画が主流となった現在のアニメ業界において、最新の制作環境で学べることは大きなアドバンテージとなるでしょう。在学中から現場の雰囲気を体験できる機会も多く、プロとしての心構えも自然と身についていきます。

 

総合学部という新たな学び方

代々木アニメーション学院は2026年4月から「アニメ・クリエイター総合学部」を開講します。これは、アニメ・エンタメ業界に興味はあるけれど、どんな職業に就くか決めきれていない人のための学部です。最初の1年間は業界について総合的に学び、自分の特性を把握したうえで、2年目から代アニの各学科で専門的に学ぶという流れです。原画マンが気になっている方は、総合学部で学ぶという選択肢もあります。

アニメ制作の中核を担うクリエイティブな仕事

原画マンは、アニメーション制作において作品の質を決定づける重要な職種です。高い画力と表現力、そして動きへの深い理解が求められる専門職ですが、自分が描いた原画がアニメーションとして動き出し、世界中の人々に感動を与える瞬間は、何物にも代えがたい喜びがあります。

厳しい下積み時代を乗り越え、技術を磨き続けることで、作画監督やキャラクターデザイナー、さらには監督へとキャリアアップしていく道も開かれています。アニメーターとして培った画力と経験は、一生の財産となり、創造的な仕事を続けていく上での確かな基盤となるでしょう。

原画マンへの道は決して楽ではありませんが、専門校での体系的な学習により、必要な技術と知識を効率的に身につけることができます。プロの指導のもと、同じ夢を持つ仲間と切磋琢磨しながら成長できる環境は、将来の原画マンとしての活躍への確実な一歩となります。アニメ業界でクリエイターとして活躍したい方は、まずは一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

原画マンとは何をする仕事ですか?

アニメーションの動きのキーポイントとなる絵を描く専門職です。レイアウト作成やタイムシート作成も行い、動画マンが中割りを描く際の基準となる重要な役割を担います。

動画マンと原画マンの違いは?

動画マンは原画と原画の間の中割りを描き、原画マンは動きの起点・終点となるキーポーズを作成します。一般的に動画マンから経験を積んで原画マンへステップアップします。

原画マンになるために必要な資格はありますか?

特別な資格は必要ありませんが、高い画力と動きの理解力が必須です。専門校での学習や実務経験を通じてスキルを身につけることが重要です。

デジタル作画スキルは必須ですか?

現在の業界ではデジタル作画が主流となっているため、CLIP STUDIO PAINTなどのソフトを使いこなせることが強く求められます。

未経験から原画マンになれますか?

通常は動画マンからキャリアをスタートします。専門校で基礎から学ぶことで、動画マンから原画マンへの昇格期間を短縮できます。

原画マンに向いている人の特徴は?

絵を描くことが好きで、観察力があり、締切を守れる責任感がある人が向いています。また、技術向上への意欲と根気強さも重要です。

原画マンからのキャリアアップは?

作画監督、キャラクターデザイナー、演出、監督など、さまざまなキャリアパスがあります。実力と経験次第で活躍の場が広がります。

どのくらいの期間で原画マンになれますか?

専門校で2年間学んだ後、動画マンとして1年から3年経験を積むのが一般的です。独学の場合は5年から10年かかることもあります。

フリーランスと社員、どちらが良いですか?

新人は制作会社で経験を積むことをお勧めします。実力がついてからフリーランスとして独立する道もあり、働き方は選択できます。

原画マンに必要な画材は?

デジタル作画が主流のため、パソコンとペンタブレット、作画ソフトが基本です。紙での作画もあるため、鉛筆や動画用紙の扱いも覚えておくと良いでしょう。

海外のアニメ制作でも活躍できますか?

日本のアニメーション技術は世界的に評価が高く、海外プロジェクトへの参加機会も増えています。実力があれば国際的に活躍できます。

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