アニメ監督【椛島洋介さん】によるライブドローイングを開催しました! 東京校オープンキャンパス
2024.11.01
『風都探偵』『ウマ娘 プリティーダービー』で活躍する椛島洋介さんがリアルタイムで絵を描く!
代々木アニメーション学院東京校のオープンキャンパスで9月29日、代アニ卒業生でアニメ監督の椛島洋介(かばしま・ようすけ)さんをゲストにお迎えしてライブドローイングイベントを開催しました!
大活躍するアニメ監督が絵を描く過程をリアルタイムで見られるとあり、多くの参加者が会場に足を運んでくれました。この日は、中継で全国の代アニを繋ぎました!
アニメーターを目指したきっかけ
司会の海老塚先生(声優タレント科講師)、山口先生(アニメーター科講師)に呼び込まれて登場した椛島さん。ライダーマンのTシャツが印象的です(笑)!
「30年近く前、福岡校でみなさんと同じように学んでいました」とあいさつした椛島さんに、海老塚先生は「アニメーターになったきっかけ」を尋ねます。すると「高校生の時に強く志しました」とのお返事。
幼い頃から「絵が動く」現象を不思議に思い、同時に惹かれていた椛島少年は、中学生からアニメーターを目指し、高校生の時に観たアニメ『宇宙の騎士テッカマンブレード』のオープニングを観てその想いが強まりました。担当は有名アニメーター・大張正己さん。「この人と仕事がしたい!」と思ったということです。
時を経て、椛島さんは憧れの大張さんと一緒に仕事をしています。高校生の時の夢を自分の力で叶えるなんて素敵です!
野球少年がアニメーターへ
当時の椛島さんは野球をしていたので、てっきりプロ野球選手を目指すと周りから思われており、アニメーターを目指すと聞いてご両親は初めは驚いたそうです。しかし、やりたいことを応援してくれる環境だったので、椛島さんを後押ししてくれたということです。
参加者の中には、進路についてご家族にどう説明するか迷っている方もいるということで、司会の海老塚先生がアドバイスを求めると
「どれくらい絵やアニメに向き合っているか、情熱があるかを見せてみたら良いと思います 」
という答えが。
「僕は昔からずっと絵を描くことが好きで、いつも描いているんです。例えばファミレスに行くと、紙ナプキンにアンケート用のボールペンで絵を描いている。今こうやって話しながらでも描けますよ(笑)!
アニメ業界は、飛び込んですぐに安心できる業界ではなく、志半ばであきらめる人もいることは確かです。でも、その情熱を持って自分はアニメ業界に入りたいんだ、という意志が伝われば、保護者の方も理解してくれると思います」
アニメ業界の待遇の変化
さらに「業界の待遇も変化していますか?」と問われると、
「一番大きく変わったことは、正社員の雇用が増えたことですね!」
と椛島さんは答えました。
椛島さんが業界に入った時代は、正社員ではなく固定給+出来高制のシステムが主流でした。しかし、作品数に対してクリエイターが多くなかったので、取り合いになるなどの問題があったそうです。しかし現在は、制作会社が安定して資金を回せるようになり、雇用が増えてきました。待遇は一般企業とほぼ変わらないようになったということです。
「実際、学院が学生に紹介する制作会社の求人票の中にも、一般企業と変わらない待遇の会社はたくさんあります」と山口先生が補足します。
アニメーターを目指す皆さんはぜひ、椛島さんのアドバイスを参考にしてみてください!
代アニのオープンキャンパスでは、アニメーターを目指す皆さんに向けて業界説明会も行っています。ぜひ気軽にご参加ください!
アニメーターとは
山口先生から「業界に詳しくない方のために、アニメーターとはどういう職業か、詳しく教えてください!」と尋ねられると、椛島さんは丁寧に教えてくれました。
アニメーターとはアニメの絵を描く職業ですが、作画監督、原画、動画などセクションがさまざまあります。
制作会社に入ると、まず動画から始まります。動画とは、動きの基礎になる原画と原画の間の動きを作るセクションです。動画をある程度こなしていくと、原画を任されるようになります。現在のアニメは原画の線量が増え、関わる人数も増えています。そこで絵がバラバラになったり、キャラクターの演技が異なったりしないように調整するのが作画監督です。
かつて作画監督は1人で担当していましたが、原画の情報量が増えたこともあり、1人では見切れなくなっています。そのため、現在は7、8人の作画監督がいて、その上に全体の作画を統一する総作画監督がいるという作品が多くなっています。
「総作画監督はキャラクターデザインが兼任するのが望ましい」と椛島さんは言います。
椛島洋介、仮面ライダースカルを描く!
そしていよいよライブドローイングの時間がやってきました!
題材は2024年11月8日公開予定の『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』から、仮面ライダースカル! なんとカラーもコピックで塗ってくださるという超豪華なライブドローイングです!!
自身が作成したキャラクター設定を見ながら描いていく椛島さん。先ほどおっしゃったように、しゃべりながらすいすいと絵を描いていきます!
仮面ライダーの特徴について椛島さんは
「中に人間が入っているので、普通のキャラクターの頭の形よりも奥行きを出さないとバランスが崩れるんです」
と、仮面ライダーという作品ならではのポイントについて語りました。
実写作品の質感を表現する難しさやこだわり
「仮面ライダースカルは影を付ける境界(明るい部分と暗い部分の境界)を全部ぼかして、撮影セクションにグラデーションをかけてもらっています。そうすることで、マスクのマットな質感を表現するよう計算しているんです。計算がズレると影付けのデザインから描き直しになるのですが、トライしています」とリスクを負いながらも表現にこだわる姿勢を見せました。山口先生は「最新のデジタル技術を駆使して作られているんですね」と現役アニメーターとして感心した様子を見せていました。
これだけお話しながらも、描く手を止めない椛島さん。仮面ライダースカルがどんどん出来上がっていきます。正面から描くだけではなく、紙を回転させながら描くことについて、山口先生は「アニメーターとして基本のテクニックですね。安定して綺麗な線を描くために、紙を動かすんです」と説明してくれました。加えて椛島さんは「脳内で立体を意識するかどうかで、平面に描いているのではなく空間に描いているように描けます。意識するかしないかの違いは大きいです」とポイントを解説してくれました。
「意識できるかな……?」と心配した皆さん、安心してください。
代アニのアニメーター科は、アニメーターとして必要なスキルをしっかりと学べる環境が整っています!
山口先生は「制作会社に入って最初からできるかどうかは人次第ですが、画力がなくても努力して上手になる人は大勢います。その下地をしっかり作れるように代アニの授業は考えられています」と話すと、椛島さんも「僕も最初は全然できませんでしたよ」と自身の経験を語ってくれました。
ついに完成!
そうこうしてる間にコピックで色が塗られ、仮面ライダースカルが生き生きと輝きはじめます。明暗や複眼の質感が色によって表現されていく過程は見ていてワクワクしますね。
同時に緊張感も漂い始め、海老塚先生と山口先生は思わず声を潜めて会話をすることに(笑)。
そして約30分ほどで、仮面ライダースカルが完成! 今にも動き出しそうな、ハットを被ったヒーローがそこにいました!!
30分で描いたとは思えないクオリティに、司会のお2人からも会場からも感嘆の声が上がります。
イラストのポイントについて椛島さんは
「仮面ライダースカルはほぼ白黒なので、陰影がとても大事です。なので少ない色で、陰影をより強調するために逆光のイメージで描きました」
と解説してくれました。
素晴らしいライブドローイングをありがとうございました!
椛島さんからメッセージ
最後に、椛島さんからアニメ業界を目指す方にメッセージをいただきました。
絵を描くことを好きでいてほしいです。絵はたくさん描いたら描いた分だけうまくなります。そして絵を描くことを好きでいてくれると、この道をあきらめられなくなります。その情熱を持って頑張ってください。僕も絵を描くことが好きで、頭で考えるより先に手が動く人間です。いつか一緒にお仕事しましょう!
椛島さん、ありがとうございました!
椛島さんが生アドバイス! 授業体験
この後、イベント参加者は志望する学科ごとの授業体験へ。
アニメーター科ではなんと椛島さんが「アクションポーズの描き方」の授業を行い、選ばれた2名はその場で生添削してもらえるというスペシャル体験に!
椛島さんは
「こうやったらもっとかっこよく見える」
「この表現はこうすると良い」
と実演を交えながら、現役アニメーターならではのアドバイスをしてくれました。皆さん真剣に手元を見つめ、椛島さんのアドバイスを聞いていました。
この体験で、アニメーションの楽しさを感じてくれたなら嬉しいです!
椛島さん、素晴らしい授業体験をありがとうございました!
代アニは今回ライブドローイングを披露していただいた椛島さんをはじめ、トップクリエイターを数多く輩出しています。
代アニだからできる最先端のカリキュラムが、皆さんにクリエイターへの道を拓きます。
アニメーターやアニメ監督に興味がある! エンタメ業界で働きたい!!
という方、ぜひ代アニで学んでみませんか?
授業体験もできるオープンキャンパスを開催しているので、ぜひお気軽にお越しください!