アニメーター【田中将賀】さんが語るアニメ業界!! ライブドローイングも披露!
2025.05.26

大学を辞めてアニメーターの道へ
田中さんは理系の大学に進学していたものの、自分に合わないと感じて中退します。そこで昔から好きで描いていた絵を仕事にしようと思い、アニメーターを目指すことにした田中さん。スキルに加えて、業界のことやアニメーション制作のことなど専門的な知識を学ぶため、代アニに進学しました。
田中さんはさらに「関連する学科がたくさんあったので、アニメーター以外の職業のことも知れるのかなと思ったことと、就職のあっ旋もあるということで安心感があったことも理由ですね」と話してくれました。


アニメーターを目指すと決めた際の家族の反応
田中さんはご家族の理解を得るのに苦労したと言います。学費を自分で払うことや、アニメーターという職業に関して将来の方向性などを説明したところ、お父様からは「学費を工面する努力をしたら学ぶ時間が減るのではないか? 本気でやりたいなら、とにかく頭を下げて親に出してもらうのが筋なんじゃないか」と厳しい言葉をかけられたそうです。その言葉を受けて田中さんは「アニメーターに絶対になってやると腹をくくれた」と決意が固まったそうです。
参加者の皆さんへのアドバイスとして「どれだけ本気度を示せるかだと思います」という言葉をいただきました。そして「やるなら本気でやらないといけません」として、「仮に別の道に進んだとしても、本気で何かを目指した経験は絶対に役に立ちます」と夢に向けた姿勢の大切さを語ってくれました。

田中将賀、『あの花』のめんまを描く
そうこうしている間に、いよいよライブドローイングが始まりました!
今回は田中さんがキャラクターデザイン・総作画監督を務めた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のメインキャラクター・めんま(本間芽衣子)を描いていただきました!
田中さんはスラスラと描きながら、絵に関してさまざまなことを教えてくれました。その1つが「引き算」です。アニメーターは細かい部分を描きすぎず、重要な部分を際立たせることが求められます。例えばキャラクターの表情以外の部分をあえて控えめに描写することで、視覚的に重要な「表情」を強調できます。田中さんは、プロとアマチュアの違いを「見る側を意識できるかどうか」だと言います。自分が描きたいものを自分の好きなように描くのではなく、作品の中で見せたい部分をどう見られるかを考えてしっかり描けるかどうか。「引き算」はそのための考え方の1つだということです。
また、キャラクターデザインの仕事については「作品に登場するキャラクターのビジュアルを決定し、デザインを統一する役割です」と教えていただきました。原作がある場合はオリジナルの絵をアニメ用に最適化し、動かしやすいデザインに調整します。
一方、オリジナル作品ではキャラクターの個性や世界観に合わせたデザインをゼロから創り上げる必要があります。その際には「視聴者が一目でキャラクターを識別できるようにすることが重要なんです」と田中さんは語り、目の形や髪型、服装のデザインにこだわることが作品の印象を決める大切な要素であると強調しました。



貴重なお話を伺っている間にも田中さんのペンは止まらず、30分ほどでめんまが完成! 実際に見ると、表情を強調するために引き算しているのがわかりますね!!
ライブドローイングの様子はコチラ↓
田中さんのライドロはここから!

真剣に過ごした時間は無駄にならない
最後に田中さんから、業界を目指す人たちに向けたメッセージをいただきました!
実際に仕事をすると、アニメ制作はセクションごとに分断されていることがほとんどなので、相互理解がしにくいんです。でも代アニは声優タレント科やアニメ音響科などさまざまな学科があるので、制作を擬似的に体験できます。これは本当にいい経験だと思っています。
代アニで学ぶ時間は、長い人生の中のほんの数年間です。その数年だけでも、「目指す業界が求めている人材はどういう人なのか」「自分が作りたいものはどういうものなのか」など、あらゆる情報や手段を自分の思いつく限りの手を使って調べて、どうやったら実現できるのかということを真剣に考えておいてください。その時間は絶対に無駄になりません。頑張ってください。そしていつか僕と一緒に仕事をしてください!
アニメーターを目指す人たちにとって、とても貴重な経験になったことは間違いありません!
田中さん、本当にありがとうございました!
代々木アニメーション学院は、第一線で活躍する方をお招きして業界のお話を聞ける機会を提供していきます。
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アニメーター。代々木アニメーション学院卒業後、アートランドを経て現在はフリー。
≪代表作≫
キャラクターデザイン・総作画監督
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』
『あの夏で待ってる』
『心が叫びたがってるんだ。』
『ふれる。』
作画監督
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
キャラクターデザイン
『君の名は。』
『天気の子』
『すずめの戸締り』
