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2016.07.14

フジテレビアニメ開発部長・松崎容子さん特別講義開催!

フジテレビアニメ開発部長松崎容子さん特別講義開催

代々木アニメーション学院では学生のためのプロ教育の一環として「アニメ制作現場に関わる方の特別講義」を定期的に行っている。

フジテレビアニメ開発部長松崎容子さん特別講義開催

今回の特別講義は…
国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」のプロデューサー、世界各国で大人気のアニメ「ONE PIECE」の企画、「四月は君の嘘」「僕だけがいない街」など「ノイタミナ」枠にて人気を誇る名作アニメのチーフプロデューサー、ギネス認定長寿アニメ「サザエさん」の開発担当…など、数多くのアニメ作品に関わる株式会社フジテレビジョン、アニメ開発部長、松崎容子さんの特別講義だ。

誰しも知っている有名作品のチーフプロデューサーのお話とのことで学生の期待も高まっている中、代々木アニメーション学院の全国8校をつないでのネット中継特別講義がにぎやかに始まった。

フジテレビ・事業部のプロデューサーから副社長の秘書に異動、元々はバラエティ希望だったので上司にお願いして編成部に異動したという、特殊な経歴の松崎さん。
番組のタイムテーブルを決めている編成部・企画班の中で「サザエさん」が大好きということから、アニメ制作に関わっていったとのこと。

局アニメのプロデューサーは「原作とどう連動するのか?」「どこで映画化するのか?」「どうイベントを行うのか?」
など、アニメに大きく関わることを全体的に考えていく。
「お台場冒険王」という夏のイベント企画では「ゴーイングメリー号を作る」などにも関わった松崎さん。
誰しも「船」など作ったことのないスタッフが、様々な場所に相談して船を作り上げたというのは凄い話だ。
多額の予算を投じ、原作もアニメもそれに関わるもの全てを全力で盛り上げていく…
それが局のプロデューサーなのだ。

松崎さんは人気長寿アニメ「ちびまる子ちゃん」の人気を支えるためにちびまる子ちゃんの実写ドラマ企画を立ち上げた。
その結果、視聴率が上がるだけでなく、タイアップも多くなった。スポットのCMも殺到。
番組を継続させる、そして『改革を起こす』のを常に考えている、という松崎さんの話に、学生たちは長寿番組の秘訣を学ぶ。

松崎さんはフジテレビのイベント企画「夏の夢大陸」で、ゲームで有名な「モンスターハンター」の、新作アニメの発表を控えているとのこと。
アニメの制作期間は一年ちょっとしかなく、作家も監督も決まってない状況。
3DCGにも挑戦するという、そんな大変な中での作業が続いているとのことで、「ゲームから3Dモデルデータをもらってアニメ化してやろうとすすめていたけどゲーム用3Dモデルだとテレビアニメでは対応できなくて、結局すべて作り直しになった。」
という業界裏話に学生から驚きの声が上がっていた。

大阪校の声優タレントコース学生から「松崎さんの声優を選ぶポイントは何か」という、声優志望ならではの質問がでた。
「私見ですが、アニメ作品の方向性によって声優は違う。私はその人しか出せない声の人を選びます。
子供にでも目をつむって違いの分かる声でなければならないと思っています。
また、子供が違和感を感じてはだめ。アニメは声優が声を吹き込んで初めて命が生まれる。
違和感のないチョイスが大切です。」

フジテレビアニメ開発部長松崎容子さん特別講義開催

学生から「仕事の中で辛かったことは何ですか?
その辛さをどう乗り越えましたか?」という非常に切実な質問があった。
「一番つらいのはめちゃくちゃ面白いと思って作ったものの視聴率が悪かったときかな。
スタッフの給料の源は番組だから、番組の視聴率が悪いと死にたくなります。
ある意味、視聴率が悪い経験を乗り越えてはいないですね。そういった経験を感じ、共存しながら仕事を続けています。」

また「時代がかわることでアニメ制作に何か変化はありましたか?」という質問に対し、アニメ「サザエさん」ではTVが大型化したことで、画面の汚さも目立ち、「サザエさんにフケがみえる」「線が二重に見える」など、お年寄りから問い合わせの電話が入ったと語る松崎さん。

(セルアニメの場合、セルの間にごみが入りやすかったり、セルの重ねる枚数で絵がぶれて見えたりする)
「サザエさんはセルで作ってるという誇りがあったけど、でもその仕事を変える決断をしたのは断腸の思い。
そういう大きな判断を求められるのは局のプロデューサーです。」
という重い話もありながら、
「サザエさんの黒電話…どうしたものでしょうね。
視聴者から『あれなに?』と聞かれたら…考えてもいいかな。
ちょうど昨日の4時から会議してました。」
と、いう話に笑いもありながら、特別講義も終了を迎える。

フジテレビアニメ開発部長松崎容子さん特別講義開催

最後にメッセージとして
「ここにいるのは夢を持っている集団。
いろいろな学校で話をしてきましたが熱量が違うなと感じました。
青臭いことをいうと『夢をもってないと何者にもなれない。』です。
いつか松崎に頭を下げさせてやるぞくらいの気持ちで、そういう存在になってほしい。
いつか皆さんと一緒にお仕事できる日を楽しみにしています。」
という言葉に学生たちは気持ちが高ぶる。
いつか松崎さんと現場で出会う日を夢見て、今日の話が次なる一歩の大きな力となるのだ。

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