衣装デザイナー(コスチュームデザイナー)になるには?仕事内容や必要なスキルを紹介
2023.05.12

テレビや舞台などのステージやショーに欠かせない華やかな衣装を見て、衣装デザインの仕事に興味を持った方もいるのではないでしょうか。
しかし、衣装デザイナー(コスチュームデザイナー)になりたくても、どうやったらなれるのか、何から始めたら良いのか分からない方がいるかもしれません。
本記事では、衣装デザイナーの実際の仕事内容や必要なスキル、資格について解説します。衣装デザイナーを目指そうとしている方は、ぜひ参考にしてください。
衣装デザイナーの仕事は、お芝居や映画の衣装はもちろん、コンサートやテーマパークのショーのコスチュームなど、出演者やアーティストが使う衣装をデザインして作成する仕事です。
衣装は、私たちが普段着ているような量産品の服とは違い、依頼主の要望に合わせて、1点ずつオーダーメイドで制作することが多いです。
衣装デザイナーが働く場所は、衣装の制作会社やアトリエに就職して仕事をするのが一般的です。働く場所や経験によって任される仕事は異なりますが、具体的には次のような仕事をしています。
●打ち合わせをする
●デザインを考える
●制作をする
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
打ち合わせをする
まずは、映画や舞台の監督や制作会社、衣装を着るアーティストやパフォーマーなど、衣装を作って欲しい依頼主と打ち合わせをします。
依頼主の要望を確認しながら、どのようなイメージの衣装にするのか、予算はいくらくらいか、使われる場所や用途などを細かく確認してデザインの方向性を決めていきます。
デザインを考える
次に、打ち合わせの内容を踏まえて衣装デザインの案を作成します。通常は作成したデザイン案をもとに何度か打ち合わせを重ねて、お客様の要望に近づけていきます。
打ち合わせをしながらその場でデザイン画を描くこともあれば、お客様の要望に合うまで、何度もデザイン案を描き直すこともあります。
制作をする
デザインが決まったら、衣装の制作に入ります。働く場所によって、デザイナーが関わる工程は異なりますが、生地の選定や採寸、裁断、縫製など、実際の製作作業に関わる現場もあります。
また、試着後や使用後の直しや改良など、アフターフォローにも関わる可能性もあります。
衣装デザイナーとして働くためにはいくつかの方法がありますが、本章では以下の3つの方法を紹介します。
●服飾が学べる大学や専門校に入学する
●衣装制作会社などへ就職する
●衣装デザイナーへ弟子入りする
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
服飾が学べる大学や専門校に入学する
服飾や縫製、舞台の美術関係が学べる大学や専門校では、衣装デザイナーに必要な知識やスキルが学べます。
デザインやデッサンの基本的な知識や、現場で需要が高まっているPCでのデザインスキルなど幅広く学べるため、未経験からでも安心して衣装デザイナーを目指せます。
「舞台衣装を作りたい」「アイドルの衣装を作りたい」など、自分が学びたいことや目指したい分野がすでに決まっている場合は、その分野を強みとしている学校を探すと良いでしょう。
衣装制作会社などへ就職する
服飾が学べる大学や専門校を卒業した後に、衣装を制作している会社や劇団の技術スタッフとして就職して衣装デザイナーとして働く方法が一般的ですが、なかにはアシスタントや研修生として採用している会社もあるため、学校などに通わなくても衣装デザイナーになれる可能性はあります。
しかし就職採用試験では、デザインやデッサンの作品の提出を求められるなど、経験者や服飾や美術などを学校で学んだ人を対象としている会社が多いため、基本的には服飾が学べる大学や専門校を卒業したあとに衣装制作会社などへ就職するのがおすすめです。
衣装デザイナーへ弟子入りする
独立して活躍しているフリーランスの衣装デザイナーに弟子入りして、アシスタントとして現場で働きながらプロを目指す道もあります。
他の2つの方法に比べて求人数は少ないですが、チャンスを得られればプロから直接技術を学べるほか、第一線で活躍する人との人脈が築けるメリットがあります。

衣装デザイナーとして仕事をするには、デザインに関する知識やスキルだけでなく、デザイン系ソフトの操作や、コミュニケーション能力も求められます。
以下で詳しい内容をみていきましょう。
芸術的なスキルとセンス
衣装のデザインには、いうまでもなく美術やデザインなどの芸術的なセンスやスキルが求められます。依頼主が求めているイメージをデザインとして形にするスキルがないと、衣装を作ることは難しいでしょう。
芸術的なスキルやセンスは、生まれ持った才能だけではありません。デザインや芸術、服飾や素材についてなど、衣装に関係する幅広い知識とアイディアの元となる引き出しが必要であるため、普段から衣装に意識を向けて多くのデザインに触れ、感覚を研いでおきましょう。
コミュニケーション能力
衣装デザイナーは自分が作りたい衣装ではなく、監督やアーティストなどの依頼主が希望する衣装を作らなければなりません。そのため、依頼主の要望を正確に把握するためには、「相手のイメージを引き出して聞き取る力」と「自分の考えを正確に伝える力」が必要です。
また、フリーランスではなく衣装制作会社で働く時は、上司や先輩、同僚などとチームになって働きます。チームの一員として、周りと協力していくためにはコミュニケーション力が重要な能力となります。
デザイン系ソフトの操作技術
デザインを作成する現場では、PhotoshopやIllustrator、CLO、CADなどのソフトを使う場面もあるため、このようなソフトを扱えることを求められる場合もあります。
Photoshopとは写真の加工や合成、グラフィックの作成など、画像を自由に編集できる画像編集アプリケーションソフト、Illustratorは曲線や直線などの様々な図形を用いた表現や、イラスト制作などができるベクターイメージ編集ソフトのことです。
また、CLOは洋服のサンプルなどを作成せずに、PC上で洋服のシルエットや着装感を確認することができる3Dソフト、CADはパターン(洋服の型紙)をPC上で作成するためのソフトです。
どのソフトも学習本が販売されていたり、講座が開かれていたりするので独学で学ぶことができます。
また、大学や専門校によってはPCスキルを学べる科目を設けているところもあります。独学で勉強するのが不安な方や、大学や専門校で衣装デザインの勉強と並行しながらデザイン系ソフトも学びたい方は、双方が学べる大学や専門校がおすすめです。
衣装デザイナーになるために必須で取らなければならない資格はありません。しかし、衣装デザインをする際の色に関する「色彩検定」や、デザイン画から型紙を作る「パターンメーキング技術検定」を持っておくと、デザインの仕事に役立ちます。
また、デザイン系ソフトのPhotoshopやIllustratorは、能力認定試験があります。就職の際に、デザイン系ソフトを使用できることが応募要件に入っている会社もあるので、これらを取得しておくと現場で必要なスキルの証明になるでしょう。
衣装デザイナーの年収は、平均で見ると約250万円から350万円ほどです。
しかし衣装デザイナーのなかには、アルバイトとして働いている人や正社員で働く人、フリーランスとして独立して活躍する人などのさまざまな働き方があるので、収入にはかなりの差が見られます。
経験や実績とともに、現場での責任や立場が上がると年収も増える傾向があり、なかには800万円や1,000万円を稼ぐ衣装デザイナーもいます。
代々木アニメーション学院には「芸能スタッフ学部 衣装制作科」があり、衣装デザイナーを目指すことができます。
衣装制作科では3DモデリングソフトのCLOを導入した授業を毎週行い、制作の幅と就職の可能性を広げています。さらに、AKB48グループなど数々の有名アイドルの衣装デザインを手がけてきた会社「オサレカンパニー」を中心に、業界で必要とされている最新の衣装デザインが学べます。
代々木アニメーション学院所属のアイドル「=LOVE」「≠ME」「≒JOY」の現場で得た最新情報やトレンドが授業に反映されているほか、在学生だけの特別プログラムとして実際のイベントや舞台の裏側を見学できるなど、衣装が使われている生の現場に関わることで実践的な学びが得られます。
衣装デザイナーの仕事は、衣装のデザインだけでなく、依頼主との打ち合わせや衣装の制作まで、さまざまな仕事があります。また、衣装制作会社や劇団の技術スタッフなど、活躍できるフィールドの幅が広いこともこの仕事の特徴です。
衣装デザイナーは専門性が高い仕事なので、服飾や美術系の大学や専門校で基礎的な知識から実践的な技術を身につけておくと良いでしょう。特に専門校では、第一線で衣装デザイナーとして活躍する講師による講義や、より実践に近い形で学べる実習などのプログラムが充実しています。
衣装デザイナーを目指すのであれば、専門校で実践的に学んでいく選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。